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ゼロからつくるビジネスモデル: 新しい価値を生み出す技術

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ゼロからつくるビジネスモデル: 新しい価値を生み出す技術
(井上達彦著 /東洋経済新報社)
 
500ページに及ぶ大作,ビジネスモデルが持つ学術的意味を分かり易く解説!
 
  手に取った瞬間の正直な感想が, 『凄い!』 の一言でした.
 
単なる大学講義の教科書ではなく,読み手を飽きさせない構成になっています.写真あり,表あり,図面あり,イラストあり,クイズ形式の問いかけもあるので,読み手をワクワクさせます.読みやすさに対しての配慮はさすがです,よく考えられた企画構成になっています.加えて,読みやすさだけではない本書内容の深さにも驚きを隠せません.ビジネスモデルをどう捉えるべきなのか,広く? 狭く? 学術的な価値を持たせるために一般化すべきビジネスモデルは狭義に捉えるべきではない,ということが答えだったように思いました.つまり,収益をあげるためだけのビジネスモデルでは拡張性が生まれないということでしょう!
 
 → 読んでみて,こんな本を書いてみたいと思いますね!(勿論,書けませんが)
 
取り上げているテーマは 『ビジネスモデル』 ,これを4部構成で分かり易く,読み手にやさしく解説しています.各々の部分には具体的な事例が取りあげられています.
 
最初に基礎編,ビジネスモデルとは何かを具体例を交えつつ解説しています.
→ スノーピークの事例はとても面白い(儲け優先ではない商品企画とその挑戦)!
→ 経営理念の大切さ(スノーピークの経営理念は人間性の回復)
 
次に具体的な発想の作り方に進みます.
→ 事例に取り上げられるKUMONの学習療法は筆者の深く知るところでしょうか.
→ 創造的模倣(お手本)の在り様から具体的な発想に繋げる説明です.
→ 逆転の発想ではプロレスのドラゴンゲートを事例として紹介,この事例も斬新!
 
そして実践編,分析・発想・試作・検証(従来からあるPDCAサイクルとの対比)の説明が入ります.
→ 事例にはランドセルの ziba tokyo の話が出ています.
 
最後にビジネスモデルの発展的学習,好循環の仕組みを将棋AIのHEROZを事例にあげて紹介しています.ここにはポケモンとの共同開発があったそうで,ゲームをやらない小生にはこの点にも斬新さを感じました.更にこれが金融,建設業界にも進展,AIの活用先を拡張する仕組みをニーズの深堀として『深さ』と表現しています.このような拡張は『知の探索』と,好循環によって価値創造が進むことの『知の深化』と表し,この両輪で成り立っているとのことです.ビジネスモデルを好循環にする仕組みが分かり易く説明されています.
 
経営学における事業創造が科学者的発想か,芸術家としての発想からか,この問いかけも斬新でした(考えたことが無かったので).個人的にはこの部分の考察が一番面白く感じました.
 → であれば,でき上がった事業の継続にその概念が無いような場合どうなるのだろう?
 → 大手企業での安定を求める状態,大企業病はこういったスピリッツの欠如から生まれるのか?
 → パーソナリティ分析のホランドモデルとの対比ができる? いろいろと考えたくなりますね!
 
内容が深い専門書ですが,読み物としても楽しめる企画に仕上がっています.読むべき対象は,経営学を学ぼうと考えている学生でしょうが,社会人で事業創造を考える方にも役立つと思います.とは言え,500ページを超える力作ですので,読み切るにはそれなりの時間と努力は必要ですね(汗)!
 
 
2019年11月30日 07:28

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