家族のライフサイクルと中年の危機
以前,個人の発達段階とライフサイクルについて,エリクソンとレビンソンの発達論から議論したことがあり,ここに中年の危機なるものが織り込まれていることをご紹介しました.
この発達論には個人以外の要素として,家族の視点もあり『家族のライフサイクル』との関連性から,中年の危機にも繋がる要因となり得るようで,夫婦の危機(→熟年離婚の増加要因)も説明されています.
家族のライフサイクルで著名な平木典子さんの学説によると,その段階は7つあるとのことです.
第一期:独身の若い成人期(育てられた家族からの独立)
第二期:結婚による家族の成立期(新婚期~新たな家族の形成)
第三期:乳幼児を育てる段階(親の役割の発生~家族の新しい関わり構成)
第四期:小学生の子どもとその家族(親の役割の変化~外に開かれる子供の人間関係)
第五期:思春期の子供とその家族(子供の親離れ~中年期構築)→ 夫婦関係の危機
第六期:若者世代とその家族(夫婦関係の再編成)→ 熟年離婚の増加
第七期:老年期の家族(役割譲渡~人生の締めくくりへ)
中年の危機にはいろいろな原因があり,個人の成長過程における個人の立ち位置,例えば,職場での居場所,仕事のやりがい,人間関係など,これに加えて考えなければならないのが 『家族の関係性』 です.
家族の関係性は,自身が家族を作る前から始まり,親元からの独立が最初の一歩とあります.親との関係性が家族と言う視点では出発点になると言うことです.加えて自身も親になることで新たな視点が加わります.その親の役割も年齢を重ねると変化していき,言われてみると当たり前のように思いますが,この家族のライフサイクルの各段階で心理的な状態も変化していき,その変化を個人がしっかり受け止めていかなければならないと言うことです.
親にとっての子供の存在は,自身の親との関係性以上に大きく心理的に影響します.
→ 自身を振り返ってもそうだったと思います.
親から独立して,子であった自分が親になっていく段階で,気持ちの切り替えはそれなりに重要であり,その経験があるが故に人は成長していくのだと思います.
ただ,この経験をかつては多くの人ができたのですが,未婚率が上がる昨今,できずに人としての成長の機会を奪われているケースも多くなっています.晩婚化にも同じ問題が含まれています.中年の危機が家族心理学の視点からも影響を受けていることを,今さらながらに興味を持って考えていこうと思った次第です.
追伸,男性にとってのパートナーとの関係性,歳を重ねると力関係が逆転すること(女性が強くなる!)は多くの方が経験していることだと思います.この点が中年の危機とどう絡むか,今後具体化していきたい一つの興味ある視点だと思っています(汗).
2020年09月27日 16:55
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