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カウンセリングスタイル(具体例から考える)

210722_Counseling_06
カウンセリングスタイル(具体例から考える)
 
はじめて出会う心理学(改訂版、有斐閣アルマ)第9章 カウンセリングと心理法(心の危機を乗り越える)を読み直して、面白い設問があったので紹介します。
 → これでカウンセラー気質が自己評価できるかもしれません?
 
あなたはカウンセラー、以下のようなクライアント(29歳女性)が訪ねてきて話しだします。
あなたは話を聴き、そしてどのような言葉を発するでしょうか?
 
<クライエント>
私は一人でいるのが怖いのです。とても怖いのです。
自殺するのではないかと思うほどです。
実際に自殺はないのですが、とても憂鬱になってしまいます。
外出もできません。医者に行っても診断を受けるのが怖くて、
がんだと診断されてしまうのではと更に心配になってしまいます。
なんとかならないでしょうか?
 
<回答(1)>
あなたの恐怖心は別にして、がんではないかと思った徴候はありますか?
 
<回答(2)>
そんなに恐怖心に襲われてしまうのなら、いつでも私に電話してください。
私と話をしましょう。相談室でも、私の自宅でも、訪ねて来てください。
話しをすれば冷静になれると思います。
 
<回答(3)>
この恐怖をもう少し追求して見れば、あなたが考えているほど
現実的ではないことが分かるかもしれません。
あなたを何が抑圧し、罪悪感を持たせているか、
私はあなたが自分自身に罰を与えているように思います。
 
<回答(4)>
そんな恐怖感を持たれているのですね、それで一人でいることも怖いのですね。
 


【傾向分析(1)】 総括
意外と言うか、カウンセリングを勉強すると普通かもしれません、
カウンセラーの多くは回答(4)を選ぶ方が多いように思います。
カウンセリングを特に意識していない方は、まずは回答(4)を
選ばないと思います。カウンセリングを学ぶ前の自分と今を比較すると
そのあたりは明確だと思います。
 
<回答(1)> 診断的態度 
具体的な問題に着目し、まずは「がん」と言う言葉を拾うことで、
問題解決の糸口を具体化しようとします。
理系のかつての自分はこの選択をします。
ロジカルな対応を考える場合に相当します。
 
<回答(2)> 支持的態度
相手に親身に寄り添い、安心感を与えようとします。
性善説に基づく一般的な思考からは、この答えが多いようにもいます。
ただ、どこまで親身になれるかは、カウンセリングの理論が無い場合
個人的感情に基づく好き嫌いが出てしまうので難しい?
自身が好意を持てるクライエントであるか否かで
対応が変わるように思います。
 
<回答(3)> 解釈的態度
ちょっと極端な例ですが、心理学を学んでいる場合にあり得る選択肢です。
心理学を学んだ方ならばすぐに気づくでしょうけれど、
フロイトの精神分析的考察であることが分かります。
 
<回答(4)>理解的態度
これはかなり極端な例ですが、
カウンセリングにおけるロジャーズの理論、
傾聴をベースとしたかかわり方の基本になります。
 

 
【傾向分析(2)】 理論的考察
この設問は結構面白いなと思います。
個々人のバックグラウンドに依存して対応が極端に変わり、
その変化は個人の学習履歴に依存することがとても興味深いわけです。
カウンセリング理論やその他代表的な治療法と対応付けて考察してみます。
 
<回答(1)> 診断的態度 → (循環器系含む)医者的反応
特定の理論と言うよりは、現実思考(モダニズム的発想)でしょうか?
仮にクライエントが本当(?)にがんだとすれば、
カウンセラーは医者にリファーしなければならない案件です。
ただ、本当にクライエントががんを予想しているのであれば、
まずは最初に循環器系の医者を訪ねると思いますので、
必ずしも的確な対応とは言えないので
その場の判断にゆだねられるところが大きいように思います。
 
<回答(2)>支持的態度 → マイクロカウンセリングで言う積極技法?
感情に関わる接し方だと思われ、
カウンセリング基礎ではあまり推奨されないやり方だと思います。
ただ、発展形になると、場合によっては許されますが、
かなりの熟練を要する対応と言えます。
時間と場所(時にはフィー設定も必要)を決めて、
インフォームド・コンセントの設定どおりに従うのであれば、
この選択は選ぶべきではないと思います。
特にカウンセラーが男性であれば 「私の自宅」はNGですね!

<回答(3)>解釈的態度 → 精神分析、精神療法
フロイトの精神分析では、クライエントに現在の心理的状態を伝えて、
それを認識させることから意識と無意識の境界線を探索
「防衛機制」を解明し、これを治療の具体的手法に繋げていくわけです。
ただ、最近ではあまりやられていないように思います。
 
<回答(4)>理解的態度 → 来談者中心療法
カウンセリングの基礎に相当し、まずは「聴くこと」から初めて、
クレイエントの自己実現を手助けすることを優先します。
カウンセリングでは答えを与えることを目的とせず、
クライエントの支援を優先した手法に相当します。
 
 
今さらですが、こういった事例を読み返すことで、
多くを知らされ、色々なところからの気づきを感じます。
 
 
2021年07月22日 12:41

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