社会科学系の学会に参加して思った自然科学系との違い
10月に何年ぶりでしょうか、分からないくらい久しぶりに社会科学系の国内学会に参加しました。
→ 学会の要職は一橋大学の先生方
これまで、研究会には幾度か参加機会がありましたが、学会ともなると参加費が高いわりに聞きたい発表も少なく、コスパが悪いので積極的に参加する気になれない、そんなネガティブな想いで遠くから見ていました。
ところが昨今、自身の仕事環境が変わり、4月から国の研究機関に出向となったので、これまでのようなビジネス面の仕事とはかかわりが無くなり、その反対にアカデミックとは言えないまでも、仕事で学会に参加できる立場になったので、学会参加費も職場持ちなので久方ぶりに参加してみました。
→ これが結構高いので驚きますが、自腹ではないので(笑)
その感想、本日(11/30)の日経新聞 『教育』 のコラムで
早稲田大学商学部教授でらした恩蔵直人先生の述べられている
学会、世界で競争不可避に
尋問社会科学分野、大きな転機
問題提起: 若手養成する場、衰退招く恐れ
ここに書かれていることと全く同意でした!
一言で言うと、残念な現状を見たように感じています。
古い話で僭越ですが、自身が理系のアカデミックなところに軸足があった頃の自然科学系は物理を基本とするユニバーサルな世界共通の事例を扱うことが多く(と言うか、それが当たり前)、ここに日本特有の事例は出にくいという特徴がありました。加えて全世界に情報発信するので、論文は英語が当たり前、日本語で書いた論文は成果として認められない(英語論文のおまけ?)、そんな認識が小職の若い頃の持っていた率直な印象です。
これに対して、人文社会科学系は地域性が色濃く出て、日本の研究者が米国を背景とした社会科学を論文にすることは少なく、併せて日本語で国内限定での発信に偏っているように感じています。日本の事例なんて、世界では誰も注目しない? そんな世界では注目されない日本の事例を日本語で論文にしてもおそらく誰も読まないと思います。日本人ですら読まない?
米国の事例であれば別(米国は世界の中心なので)ですが、日本の特殊な事例なんて、世界のアカデミックな世界に生きる方々は何の興味も示さないのは当たり前だと思います。
その結果、国内学会の発表件数が減少、元々査読すらされない発表なので質は高くないようですが、更に質は下がり、聞いていて面白くもなんともない発表ばかり、大学の先生でもこんなにしょうもない発表をするのだ?そんな負のループに陥っているように感じました(失礼多謝)。
恩蔵先生が最後に書かれているひとこと、日本が科学立国を目指すのであれば必達な視点であり、国はこう言った視点で研究や教育の立て直しをやるべきだと思いました。
<恩蔵先生のまとめの言葉>
大学のグローバル化を意識した教育改革を進める中、研究成果と密接に結びついている学会の在り方について健闘すべき段階に来ている。
社説のまとめには
国内学会の衰退を招きかねないと問題提起しています。
2021年11月30日 11:30
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