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就活で要求されるコミュニケーション能力を上げるにはどうすればいい?

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コミュニケーション力を上げるには?
 
昨日(7/6)の日経新聞夕刊「就活リアル」に
とても良い記述があったので取り上げたいと思います。
 
コミュニケーションの5要素
 → これにカウンセリングの技法をかけ併せて見ます。
 
  • うまく話す能力(カウンセリング技法で言うアサーション
  • うまく聴く能力(カウンセリングで言う傾聴
  • 配慮する能力(カウンセリングで言う共感自己一致
  • 関係を広げる能力(ポジティブ心理学で言うエンゲージメント
  • 関係を維持する能力(カウンセリングの基礎であるラポール形成
 
全てがカウンセリング心理学で学ぶ理論や技法になっているように思います。
就活においても、カウンセリングを勉強する意味があると言うことです!
 
細かく考察すると、5要素の内の3要素はロジャース理論
すなわち「来談者中心療法」の核となる部分であり、
要は相手の気持ちをどう考えるかからスターすることを示唆しています。
その前提で自己主張する(一方的にならない)、
そして最後は「ポジティブシンキング」、明るく前向きに楽しむと言うこと。
自身の苦痛を強いるばかりでは長続きしません。
 → 相手を嫌わないことから始まり、相手を受け入れる気持ちを作る
   それによって初めて相手に嫌われない関係性ができる。
 
よく言われることに、大学入試は試験をクリアすること、
いわば自分の努力が成果として出やすいイベントですが、
就活は全く異なります。自身の努力成果だけではなく、
他人の視点が他力本願的に入ってくる評価と言うこと。
 
特にその他者の視点が 「相性」 と言う観点から自分を観察します。
この相性は能力と言うよりは、潜在的な自分がどうみられるか?
受け入れてもらえるか(好きになってもらえるか)、それだけです。
 
世の中は頭の賢い、いわゆる偏差値の高い人だけを求めているのではなく、
状況に応じて求められる能力は異なります。その際のメンタリティーは大事です。
 
就活は結婚と同じで、相思相愛が大原則、
終活試験で採用されないのは単に片思いだっただけであり、
それほど気にする必要はないと思います。
 
さて、ではコミュニケーション力を上げるにはどうすればいいか、
自信が無い学生さんは、独学でもいいので

カウンセリングを勉強することをお勧めします。
 
 興味がわいたら、専門家から学べば良いと思います。
 結構奥が深いので、やりだすと面白くなります。



 
2021年07月07日 09:18

不正問題で揺れる日本のモノづくり、その原因は?

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不正問題で揺れる日本のモノづくり、その原因は?
 
今日(7/7)の日経新聞から、連日の話題になっていますです。
日本のモノづくり文化に一石を投じる大きな問題です。
 
昨今の新聞紙面を賑わせている三菱電機の不正検査問題は、あらましが新聞紙面に多々露出しているので詳細は不要かもしれませんが、三菱電機が強いセグメントである鉄道車両向け機器における問題で、顧客との取り交わしを無視した独自の検査を自己判断で35年以上継続していたと言う検査内容改ざんです。
 
これまでにも多くの会社で露呈した問題であり、
 
 三菱電機でも またやったか
 
そんな受け取り方です。
 
直近では日産自動車の検査無資格者による検査断行
 → 言い分は、資格が無くても的確な判断はできる
 → ISO認証企業の視点からはNG、でもそれ以前は当たり前?
 
神戸製鋼の検査結果(検査証明書)の改ざん
 → 顧客が納得していればとの「特別採用(トクサイ)」での容認
 → トクサイ なんて、どこの企業でもやっています
 
三菱電機は既に常習犯であり、
 → 2018年 子会社での仕様不適合ゴムの出荷
   2019年 子会社での強度不測の鋳鉄製品出荷
   2020年 半導体を規格通りの検査をせず出荷
欧州現地基準を満たさない車載ラジオ受信機を出荷
   2021年 安全認証を受けない樹脂を使用した電気制御部品の出荷
 
こう言った背景を加味すると、いわゆる「現状規格」に対するルール通りには出荷はできないと言えるように思います。日経新聞では、3つの視点を指摘しています。
 
品質への過信
 → 不正問題での社長コメントは常に「安全には問題ありません!」
 → 逆に言えば、「現状のやり方で問題ないので心配しないで」
 → 顧客からの検査や規格は「的外れでは?」、そう言っている。
 
組織防衛風土
 → 社内の本質を、監査と言って入ってきた外部の人に
   全てを見せる、正直に話す人がどれほどいるのか?
 → 指摘されたら嘘は付けないので言うかもしれないけれど
   自分からどの程度積極的に話すかですね? 言うかな?
 → もし言ってしまったら、どこの会社でも袋叩きです。
 
工場の老朽化
 → 設備が古いので人員に負担がかかり、顧客の言うことを
   真に受けてやっていられない現実、現場の本音、
 → 顧客交渉(規格を決める)する人と物を作る人は別、
   作る側が納得できずにモノづくりをすればどうなるのか?
 
 これらを鑑みて思うに、
 
 日本の会社でなくても、(世界中)どこでもやっている現実では?
 その事実が外に出るかでないか、その違いだけが不正問題でたたかれる企業とそうでない企業の差でしかない?
 
 モノづくりにどこまで本音を織り込めるか、それだけではないのか?
 
顧客が言っていることが的外れな規格要求で、製造側は 「それは合理的ではない、仕様変更すべきでは?」、「変更案をこう考えるが受け入れてもらえないのか?」、その話し合いが不足しているだけのように思います。
 
メーカーが製品を顧客にオファーする場合、顧客が的外れなオーバースペックを主張、あり得ない規格要求する場合は少なくありません(実体験から)。勿論、議論の末に必要だと判断したら受け入れる(特に安全関連の仕様)
 → 顧客と約束したら大変でも絶対にやる、
   その大変な事態になったことは規格を決めた本人が
   現場に納得してもらえるようにしっかり説明する。
 
でも、そうでない場合はその必要が無いことを顧客に理解してもらい、規格を見直してもらう、その作業を抜きにして現場に押し付けるから、現場に手抜きをされてしまう、検査を仕様通りにしてもらえないわけです。
 → 問題の根幹に現場が納得していない事実もあるように思います。
 
 結論として、コミュニケーション不足 だと言うことです!
 
顧客の言うことが全てでは無く(的外れな場合は議論する)、作る側も納得できるように話し合うべきで、その結果決まったことは実直にやる、周りを説得してやらせる!
 
現代人は議論する、話し合う習慣を減らしており(ネット社会の問題)、それが昔から今の中で変わっていく文化に追従できていないことが大きな問題だと感じています。
 
 でも最後に、検査結果の改残はだめです!
 約束したのであればやるのが 道理 です!
  → できないことは約束しない!


 
 
2021年07月06日 17:20

マンガでやさしくわかるビジネスモデル

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マンガでやさしくわかるビジネスモデル
(井上 達彦著、ユニバーサル・パブリシング, 藤沢 涼生 / 日本能率協会)
 
実話からのビジネスモデルにのめり込んでしまう(汗)!
 
学術書にも文化としての漫画が入って来るのは当たり前の時代、
知覚的に捉えることで理解度を上げる販売戦略と察します!
 
平成のクールジャパン戦略に代表されるように、
漫画は既に立派な文化となっていますね。
漫画が知覚に訴える力はやはり凄いので、
これを学術書に連動させることはもはや時代の流れとして妥当だと思います。
 
さて、本書が言いたいところですが、
キータームを抽出すると以下の通りです。
 
・ビジネスモデルの考え方
・ビジネスモデルに使われる「良い模倣」と「悪い模倣」
・ビジネスモデルのパターン化
  「オープンイノベーション」、 
  「プラットフォームビジネス」、
  「サブスクリプション」、
  「フリーミアム」
・ビジネスモデルを図式化する → ピクト図
 
 
余談ですが、本書に出て来る
主人公の松田愛が立ち上げる会社「PLACEMARKET」は
実存する会社「SPACEMARKET」がモデルになっています。
著者の井上教授はモデル会社の社長さんに何度も取材していたそうで、
それが故にリアル感のある内容に仕上がっていると言うわけです。
 
https://spacemarket.co.jp/company/boardmember
 
特に第4章「巨人との戦い方を考える」は実話だと思いますが、
主人公の松田愛の提案が斬新で、納得感があります。
実際のビジネスでも窮地をこうして切り抜けた?
そんな臨場感が読み手に迫ってくる印象を持ちました。
 
娯楽本でもありますが、間違いなく経営学の視点を学ぶことができる
今風なビジネスモデルのテキストだと思います。
 
 
2021年06月28日 21:59

両利きの経営(Ambidexterity)

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両利きの経営(Ambidexterity)
チャールズ・A. オライリー , マイケル・L. タッシュマン 著 / 東洋経済新報社
 
「両利き」の意味が分からず、読むのが遅れてしまった(涙)
 
クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を読んだ方であれば、本書の面白さは理解できると思います。学術的な価値もさることながら、読み物としてもとても興味深い内容です。お勧めは解説、早稲田大学の入山章栄氏とIGPIグループの会長である冨山和彦氏のダブル解説が極めて分かりやすく、本書のポイントを事前に頭に入れつつ読み進むことができます。
 
「両利きの経営」とは?
 
 知の探索 + 知の深化 を 両面から行う経営のこと!

知の探索:自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
→ 経営に取り込むには時間もかかり困難を伴う、
  でも、次の時代のパラダイムシフトへの対応に
  必須と言われている経営者が持つべき視点のひとつ

知の深化:自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為
→ 勝ち組企業はこちらに終始しがちであるが、
  勝ちパターンはいつかは終わる!
  これを収益の基礎として、知の探究に軸足を
  知の探究に持っていけるかが経営者のセンスでもある。
  
 
事例が豊富であり、その概念を一般化したうえで、
理論武装した経営者となるべく、本書はリーダーのあるべき姿を説いています。
 
読んでみて、ベストセラーになっている理由がよく分かるほど、
大変面白い、内容の深い、そして学術的にも価値の高い1冊だと思います。
 
 
 
2021年06月22日 19:51

世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑

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世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑
(井上 達彦, 鄭 雅方 著 / 日経BP)
 
世界最速の立ち上がり、美しさ際立つ中国版ビジネスモデルのケーススタディ!
 
本書は<中国の経済事情カテゴリ>ベストセラーになっており、著名な大規模書店では平積みでお勧め図書になっています。なぜ売れているか、その理由を整理してみます。
 
・ ビジネスモデルのケーススタディに中国企業を取り上げている。日本とは異なり、
  事業の桁(規模)がとても大きく、現在のビジネスモデルの世界最先端は、
  欧米ではなく、日本でもなく、中国だと言うこと。ここから日本的発想とは
  異なる新たなイノベーションが広がる可能性を感じられる。
  (横展開型、融業型ビジネスの次なるステップへ?)
 
・ 本書のデータは、筆者や著者と関わる学生の綿密なフィールド調査に基づくもので、
  分析内容にリアル感・臨場感がある。大学の情報源の広さ、奥深さを再認識できる。
 
・ そして最大の特徴、「システムシンキング」と「ピクト図」をビジネスモデルの
  フェーズに応じて使い分け、言葉では表現しにくいところを知覚的に示し、
  更なる納得感を高めている。図を見ると言いたいことが良く頭に入ってくる。
 
・ これは蛇足ですが、適宜挿入されているイラストが専門書的な堅さを取り除き、
  読みやすい気持ち作りから読者を引き込む(書籍を売る戦略が潜んでいる?)。
 
他のレビューにもありますが、日本の書籍で中国企業をここまで内面から切り込んで分析、分かりやすくまとめている書籍は無かったように思います。その分析は非常に緻密、かつ斬新な視点が織り込まれていることは素晴らしいと思います。
 
本書を読んでいて思い出したのですが、2005年にエコシステムに関わる輪講をゼミで企画した際、マイケル・クスマノ著「プラットフォーム・リーダーシップ」でインテルの事例を題材にしました。当時のインテルは、IBMの時代から続いたバス・アーキテクチャの刷新に着手(ここで儲ける気はなかった),PCの拡販を目指した事業戦略を立案し、PCIバス・アーキテクチャのデファクト化を果たし、AGP や USB 規格開発に繋げました。一企業の独占的利己を排他した「公共の利益」を追求し,当時のビジネスの成功はそこから導かれたと結論付けていましたが、これが今の中国企業のビジネスモデルに置き変わっているような印象です。
 
企業価値を高める展開は4つのパターンに分類され、その中から「横展開」と「融行」に成長を期待させる特徴を見いだし、個々のケースに応じて図式化した説明は本書の優れた特徴です。その背景に「模倣」が鎮座していることも興味深いところです。
 
p.196~197、p.199 TikTok の海外展開までの成長エンジンを「横展開」とし、これを時系列にピクト図の変化とシステムシンキングから表現している図式化はとても分かりやすいです。事業分析に関わる実務にも使わせていただきたいと思います。
 
p.224~225、p.227 メイトゥアンのクロスセリングの成長エンジンを「融業」として、同様に図式化しており、「横展開」と対比しつつ眺めてみると、本当に分かりやすいです!
 
話しは変わりますが、今回取り上げられたビジネスモデルのケーススタディ全てにインフラとしてのネットが絡んでいることを複雑な心境で読み進めました。ネット社会を基盤に置いたビジネスの主体は有形から無形へ、モノからことへ、サービスへの特化は付加価値の向上へと、ビジネスで取り組むべきポイントがパラダイムシフトしていることは明らかでしょう! それを自身に重ねてみると、もはや時代遅れの中に取り残されているような恐怖感さえ覚えてしまう、この先の自分はどうあるべきか、何を目指すべきかを真剣に考える良い機会を頂けたように思っています(汗)。
 
2021年06月21日 19:25

キャリアコンサルタント国家資格の更新、お済ですか?

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キャリアコンサルタント 国家資格の更新手続きが完了(ホッ)
 
これが結構ストレスでしたが、更新のための講習も先週末に終え、
無事、講習修了書を入手、これを
 
 キャリアコンサルタントWebサイト 登録サイトの
  マイページに登録 しました。
 
登録手数料は 8,000円、ネットでのカード決済で済ませました。
ありがたいのは全てがネット処理でクローズしていること、
郵送も必要なく審査結果が4週間程度で届くことになっています。
 → 問題ないとは思いますが?
 
 更新審査結果のご案内メールは4週間程度要します。
 (審査に係る時間は時期・状況、申請書類の量によって延びる場合があります。)
 
ご参考までに、更新手続きの要領をまとめておきます。
これから手続きされる場合の参考にしてください。
 
<手続きの進め方>
  • まずは更新に必要な講座を受講、この修了書を入手する。
    知識講習:時間以上
    技術講習:時間以上(業務や技能士資格取得で免除項目あり)
  • キャリアコンサルタントサイトに自身のマイページを開設

    https://careerconsultant.mhlw.go.jp/n/modify.html
     
  • 登録サイトに講座修了書と申請書類を貼り付けると、更新手続きに進める。
    申請書類はマイページの登録情報から自動で作られます。
    比較的よくできたシステムだと思いました!
  • 申請書類と手数料支払いを行い手続き完了、審査結果を待つ。
 
確認しながらやっていると、操作が遅いこともあり、それなりの時間を要します。
→ カードのパスワードを探したり、情報の確認をしたり、
   思っていた以上に時間がかかります。
 
とりあえず、資格消失の危機を乗り越えたか(?)と思っていますが、
登録書が手元に届くまで、もうしばらく時間がかかるようです。
 
また、これとは別にJCDA(日本キャリア開発協会)の資格更新も必要です。
更新ポイントは別試算ですが、余裕があるので、この後手続きを行う予定です。
それにしても、5年の資格有効期間は長いようであっという間、
月日の経過が早く感じてしまいます(汗)。
 
 
2021年06月18日 11:07

教養としての心理学101

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教養としての心理学101
デルタプラス編集部 (編集), 心理学用語集サイコタム (監修)
 
心理学系大学院受験のために参考書としての推薦書
 
心理学系人気サイト 「サイコタイム」 が書籍になりました。
 
https://psychoterm.jp/
 
サイトの完成度もかなり高く、
カテゴリーも分かりやすく重要タームを抽出しており、
最低限の知識はここから身に着けることができるように思います。
 
心理学系大学院受験のための勉強をどうすればいいのか?
余りにも学習範囲が広すぎて 「???」
困っておられる方は本書を参考に受験勉強するのも一手です。
特にお勧めは、サイト情報と本書を併せての学習、
実に効果的な心理学の教養が身に付くように思います!
 
更に本書がお勧めなのが、
各ページにある 「覚えておきたいターム」
これを全て説明できるようにしておけば、
心理学系大学院の試験は8割方対応できるのではないかと
今は思っています(それでも2割くらいは外すかもしれません?)。
 
2021年06月16日 19:39

ビジュアル ビジネスモデルがわかる

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ビジュアル ビジネスモデルがわかる
 (井上達彦著 / 日経文庫新書)
 
ビジネスモデルの捉え方は日々成長する、より心理学的思考へ、狭義から広義へ、常識外へ
Amazon 日経文庫でのベストセラー(1位)になっています!
 
冒頭からドキッとさせられました(汗)。
 
 あなたの会社は大丈夫か?
  → 大丈夫ではないですね(汗2)
 
18項目のセルフチェック、まずはここで喉元にナイフを突き刺された印象です。古い体質の会社は新しい取り組みも遅れているとの指摘は的確です。
 → あとがきに、「最近の学生は伝統的な大企業を選ばない!」
 → それは日頃から感じていることでもありました。
 
 ビジネスモデル とは、
  どのようにすれば会社がうまくいくかを説明するストーリー
 
従来の狭義の稼ぎ方を「収益モデル」として使い分けしている。
 → 「収益モデル」をビジネスモデルだと勘違いしていないか?
 → 選択バイアスに陥っていないかの指摘も的確!
 
本書は見開き2ページでまとめられており、左ページが説明、右ページが図表となっています。読みやすさもさることながら、理解しやすい仕組みになっています。専属デザイナーの方も監修に加わっているとのことで、それ故に本書の構成レベルが高いわけです。
 
更に本書は、OJC(on the Job Collaboration)の視点で作り上げられています。実践的・研究的・教育的視点を兼ね備えているところが素晴らしいです。
 
ビジネスモデルの構築を、過去の処方から現在にかけて、どのように変わっているかを解説、変化のポイントが分かりやすく述べられています。
 
SWOT分析:伝統的な事業創造のパラダイム
      → 創造的であっても飛躍は許されない
        ビジネスの機会が全て数値化できない
 
顧客洞察アプローチ:データから人への心理(共感)探究へ
 → 弱点はデータの裏付けに乏しいところ
 
パターン適合アプローチ:パターン化されたものを模倣する
 → お手本となるパターンを見つけることは容易でない
 → パターンを見いだすピクト図が有用(事業構造分析に使える!)
 → 抽象化と具体化のロジックから汎用性、理論展開を導く
 → パターンが先入観に繋がり、独創性を阻害する可能性は残る
 
ここまでを頭に入れたうえで
ビジネスモデルの6つのパラダイムシフトを考える流れになっています。

(1)伝統手法からリーンスタートアップへ
   緻密な計画からビジネスモデル探索重視に(無駄を省く)
   注)稼ぎ方の視点を「収益モデル」として区分けして考える

(2)自前主義からオープンイノベーションへ
   収益回収できない研究開発費への対応(クローズドイノベーションの崩壊)

(3)価値連鎖からプラットフォームへ
   価値連鎖から好循環を生み出す新たな価値創出へ(ネットワーク効果)
   マイケル・ポーターの価値連鎖の考え方は既に古く、
   価値連鎖にラットフォーム的思の組み込みが必要!
   イノベーションプラットフォーム(生産の補完性モデル)
   取引プラットフォーム(供給と需要の結合モデル)
   → 組み合わせのハイブリッドプラットフォーム → 付加価値増へ

(4)売り切りからサブスクリプションへ
   現状ビジネスの主流と言える、モノ余りの昨今、売り切りでは儲からない?
   伝統的製造業でのサブスクリプション成功モデルは構築できるのか?
   → ネットビジネスでのイメージは容易であるが
   → 例えばインフラ製品、寿命が長いこと(超信頼度)をどうつなげるか?

(5)有料からフリーへ
   コア製品を無料にし、周辺で利益を上げる(内部相互補完)

(6)所有からシェアへ
   「所有」する欲求が低くなった消費者心理
   ネット普及による個人間取引の増加が承認欲求を満たす
 
<本書を読んで感じたこと>

・ 消費者の視点が変化「所有」→「利用(体験)」に移っている。
・ モノ余りの時代では従来の価値連鎖モデル(マイケル・ポーター)だけでは成り立たないビジネス環境に変化し、
  ここにネットワーク効果を織り込まなければならない。

・ 製品付加価値が変わっており、経済効果をものの売り上げだけで議論することは危険。

・ 経済効果の算出には、ビジネスモデルのパラダイムシフトを加味した見えない部分の取り込みが必要。
  ビジネス全般のコスト構造が見えにくく、お金の流れが外から分かりにくい。
  これらがビジネスモデルの変化に伴う経済効果分析の難しさに派生している。

・ 昨今のデジタル革命は「非接触経済」、これがコロナ禍の状況に偶然にも(運良く 運悪く)重なってしまった。
  パラダイムシフトがコロナ禍で加速、従来以上に変化への対応が重要になっている。
  ただ、人がその変化に追従できていない事実もある。
 
いずれにせよ、これだけコンパクトンなページ数に絞られていますが、論点にズレがなく、入門書とは言い切れないビジネス書だと思います。
 
2021年06月07日 17:02

キャリア開発での厄介な問題

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キャリア開発での厄介な問題
 
昨日からの続きです。
「組織に尽くす時代」から「個の時代」へと変化、
「セルフ・キャリアドック」と言った取り組みが組織に広がり、
企業側でも社員教育に積極的に取り組むよう文科省も推奨しています。
 
 個人が輝くキャリア形成へ
  本来はそうなるはずだったと思います。
 
ただ、組織に所属する限りにおいて、逃れられない大きな問題があります。
 
 異動 です!
 
特に日本のメンバーシップ型雇用では
個人の知識やスキルに応じた職務とは関係ない異動も多く、
異動の度に業務の専門性が変わってしまう…
そんな経験をされた方は多いように思います。
 
今までやってきた専門性はいったい何?
頑張って資格取得、人脈もそれなりにできて来たのに…
 
更にです、生涯現役化の流れは70歳まで、
少ない年金で暮らせるかは疑問なので、
もしかしたら80歳まで働く必要があるかもしれません。
 
であるのに、50歳を超えると多くの人にやって来る
 
 肩たたき
 
異動と言うたてまえで(本音はお荷物宣告)、
辞令1つで全く知らないところに送られ
給料はもらえるのかもしれませんが、
やりがいも達成感もない無味乾燥した場所で
長い時間を過ごさなければなりません。
 
そんな環境でどんなキャリア開発が必要なのか?
 
多くの中高年はそんな悩みを抱えているように思います。
勿論、出世街道を順調に突き進まれる方もいるし、
日経新聞の「私の履歴書」に載るような方には
そんな悩みもなく死ぬまで忙しく、
やりがいに事欠くことはないかもしれません?
 
とは言え、いつかは現役を退く時はやってきます。
見方を変えれば、その日が早いか遅いかだけかもしれません。
 
肩たたきが来たらどうするか?
 
簡単に言えば、
 
 絶対に腐らない
 能動的に動く姿勢を崩さない
 人と人の繋がりを途切れさせない、継続する
 
そして、こんな時代に必要な最重要なものとして

Michael Osborne は
 「戦略的学習力(Learning Strategies)」
             を提唱しています。
 
意図的に学び続ける力を持とう、と言うことです。
死ぬときにどんな思いで死ねるか?
 
 「いい人生だったなぁ~」
 
そう言って安らかに死ねることが
理想のキャリア形成ができたと言うことだと思います。
 
 
2021年06月05日 13:05

モチベーションを科学する!

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モチベーション管理から開発へ
 
キャリア開発の考え方にモチベーションの考え方があり、
モチベーションには管理と開発があります。
 
モチベーションにおける2つの視点
 
  • モチベーション管理:モチベーションを組織の視点から管理・活用すること
  • モチベーション開発:モチベーションを一人ひとりの多様性で、
    個に見合った自分らしさに気付き、それを掘り起こして発揮すること
 
死ぬ前に人生を振り返り、
 
 自分のキャリアが輝いていたとの思いはどこから来るか?
 
それを考える時、
 
日々の目標達成や業績向上に打ち込んでいた時か?
 
目標とする業務上のポジションや報酬を得た時か?
 
自身が求める自己実現の形を達成できた満足感を得た時か?
 
  如何でしょうか?
 
業務上の出来事を死ぬ前の最後に言葉に残し
亡くなる人はいるのかということ、
最後の瞬間に何を考えて人は死ぬかです。
 
 「あの時、営業成果をあと100万円の伸ばしておければ、」
   そんなことを言い残して死ぬ人はおそらくいませんよね?
 
充実感は、業務を自分の仕事に変え、
それを通して自己成長できたこと、達成感や納得感を持てた時、
内面的なものである場合がほとんどだと思います。
 
モチベーション開発に話を戻すと、
内在的な満足度がモチベーションをより向上させると思います。
 
ここで最近言われるもう一つの視点、
 
OJT → OJD or OJC へ
 
OJT:on the Job Training(組織の視点からのコスト型教育)
OJD:on the Job Development(個人の成長を促す投資型教育)
OJC:on the Job Collaboration(個々人が相互成長を促す価値創造型教育)
 
人材育成には短期的なスキルや知識獲得も重要で、
これが従来からあるOJTの位置づけだと言われています。
これは組織の視点が強く、組織のニーズに沿ったコスト型教育です。
 
対して昨今、人材開発の視点からも注目されている
内在的な個人能力を伸ばす教育、中長期的な投資型教育であるOJD
そして価値創造型教育であるOJCに繋がっていくことが
理想ではないかと! この視点も内的心理に向かっています。
 
組織に貢献するキャリア形成から
自分自身の自己実現への満足感を重視した考え方に変化している!
→ これはプロティアンな生き方へのシフトでもあります。
 
モチベーション開発とはすなわち、生き抜く力の開発であり、
これを所属する組織に頼るだけではなく(利用はすればよい!)
自分自身の責任で達成することなのだろうと思います。
組織貢献は自己責任でのキャリア形成が大前提の
次のステップだと思います。
 
矛盾に満ち溢れる世の中に対して、
理不尽極まりない人間関係に対して、
予測不能な状況で生きて行かなければならない不安に対して、
 
それが組織に管理されるモチベーションから
自己責任で開発するモチベーションに変得ることで乗り切っていく、
そんな考え方が今後は必要になっていくと思っています。
 
でも、現実ではそれを阻む要因もたくさんあります。
明日はこの点を考えてみたいと思います。
 
2021年06月04日 22:59