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50代に考える,ありたい自分とは?

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50代に考える,ありたい自分とは?
 
今日(10/6)の日経新聞からです.胸が痛む記事でした.
 
 50代転職 やりがいこそ
  年収半減でも 『人らしく』
 
クビになったわけでもない,年収2,000万円の東証1部上場会社の執行役員の肩書もある方の話です.
 
 望んだはずの出世に達成感がない
 
 『安定』を追い求めた末に今がある.
   でも,やりがいって何かなって?
 
結局この方は会社を辞めて,セカンドキャリアを歩むことを選択しました.
 
42歳の時に鬱病を発症,会社を長期休暇した後に副職し,執行役員に登りつめたこの方の日常は,決裁書類にひたすらハンコを押す,接待ゴルフの調整ばかりの生活だったそうです.結局は収入を捨て,2度の転職を経験して今の職に就いたそうです.その職場は旧知の会社経営者が誘ってくれた学習塾,若手に 『教えてください』 と頭を下げることになったものの,妻に 『やっと人らしくなってきたね!』 と言われてみて,ようやく心の余裕が生まれたと実感できたそうです.
 
この紙面を読ませていただき感じたことは,同じような苦しみでもがいている50代がいかに多いかです.何回もご紹介している 『中年の危機』を絵にかいたような話だと思いました.
 
 生きること,やりがいって何なのだろうか?
 
 毎日が無駄に過ぎて行くような焦燥感
 周りに自分一人だけが取り残されてしまったような孤独感
 生きて行く価値が見いだせない脱力感

この危機感を発達理論として体系づけた二人の理論家が,キャリア理論の大家としても紹介されてもいます.

デンマーク系ユダヤ人の Erikson, E.H.
アメリカ人心理学者の Levinson D.L.

エリクソンは心理-社会的な 漸成的発達理論(ぜんせいてきはったつりろん)に基づく8段階の自我の発達図式には,段階毎に2つの相反する方向が存在し、緊張関係、または葛藤を表す心理社会的課題を定義しました.エリクソンは これを 危機(crisis)と呼びました。

レビンソンはそれを更に進めて、エリクソンの8段階のうちの成人期を中心とした漸成的発達理論の拡張を試み,成人期を4段階にわけました.

 前成人期(0~22歳)
 成人前期(17~45歳)
 成人中期(40~65歳)
 成人後期(65~85歳)
 
レビンソンのライフサイクル図式には生活構造に基づく
 
 安定期(生活構造建設期)
 移行期(過渡的な生活構造変化期) があります.

前成人期以外、各段階の初期に4~5年続く移行期が存在し,その時々で生活を見直しながら、自己と外界との関係性を模索しつつ新しい生活の基礎となる選択に向かいます.

新しい人や土地との関わりを選択し,これまでとは異なる人間関係を確立し(結婚、就職、転勤),自己の別な面を生かそうと試みます.その移行期の後に安定期が来ます.自己の選択の後に築かれた生活を作り上げる時期で、約6年~8年程度続くとあります.この中で危機が取り上げられています。

成人前期は未成年に別れを告げる時期に相当し、個人にとって最も重要な時期に全力を注ぐ事が生活の中心となります.危機的な状況に陥る事はあるものの,がむしゃらに進める時期でもあるので、次の成人中期に比較すると、知らず知らずのうちに乗り切ってしまうようです.
 → 若さはそういった面からも素晴らしいのかもしれません?

問題はやはり成人中期に至る人生後半戦の迎え方にあるように思います。成人中期に入る直前の 『人生半ばの過渡期(40歳~45歳)』 では → mid-life crisis (中年の危機) 新たな選択と断念があり、決断しなければならない事も多々生じます.生活面では運悪く離婚もあるだろうし、仕事で先が見えてくるのもこの時期でもあり,切り替えていくことを迫られる時期でもあります.ここさえ乗り切れば比較的落ち着いた成人中期を迎える事が出来ますが,乗り切れない場合に鬱病を発症してしまう可能性があります.最悪の場合に自殺に至るケースもあります.小生の知人の中にもそういった悲しい選択をしてしまった事例があり,自身がカウンセリングを学ぶ価値の起点はここにあります.

中年期以降の、若い頃とは異なる人生の岐路は多くの場合、安定期からの移行に伴う生活基盤の変化によるところが大きいと思います.
 → 仕事の質が変わって、生活基盤にも影響する現実!

出来れば避けたいと考える人でも自身のコントロールでは避けられない?
→ やりたくもない管理職をやらされる,責任も重くなる.
 
特に人生後半戦になると,概ねやりたい事はやらせてもらえなくなります.それに対して、肩にのしかかる重いもの、子供の教育費、家のローンや避けて通れない中だるみの夫婦関係、親の介護、子供の離反 → お金に縛られる現実は避けがたい?

話しを戻して、レビンソンの研究はこの中年の危機を実証的に明らかにした事に加えて、加齢に伴う一定の発達順序があり、ライフサイクルが暦の年齢に一致している事も明らかにしています.

人は皆、人生中盤以降で悩む事は自然な成り行きと言え,多くの人が心理的にもがき苦しみながら乗り越えて行くものだと割り切って考えると、その真最中のヒトも少しは気が楽になる可能性はありますが(汗).

 中年の危機は小生も実感するところです(苦)!

 
 
2019年10月06日 10:04

弱点を補ってもらえる相棒をもとう!

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武器になるペアリング,弱点を補ってもらえる相棒はこころ強い!
 
今日(9/11)の日経新聞,私の履歴書からです.今月(2019/9)は日本における経営学のパイオニア,野中郁次郎先生です.経営学を少しでもかじったことがある人は,知らない人がいないくらい著名な方です.小生の経営学の恩師はすべて影響を受けている,そんな小生からすると雲の上の人だと言えますね!
 
今日のコラムでは,米国(カリフォルニアのサンタバーバラ)でのMBA課程における奮戦記録が綴られています.米国のMBAは学位取得がとても大変であることは良く知られており,特に日本人はつたない英語で苦戦しますので,高度な学習内容に加えての更なるハンディーがあります.野中先生は英語が堪能とのことでしたが,英語ではやはり苦労され,講義内容のすべてを書きとれなかったそうです.その時考えたのが 『ペアリング』 でした.
 
優れた相棒を持って,互いの弱点を補償しあうやり方,その相棒が優れていればいるほど自身も強くなるし,相棒の力も相補的に上がります.教えることは最強の学習方法であるとも言われています.
 
野中先生の相棒はかなり優秀な方だったようで,『最良の相手』と表現されています.このペアリングは学者としての基本姿勢でもあると述べられています.
 
人間一人の力ではやはり限界があります.良く言われることは,5人までのチームを編成する,それも志を同じくするメンバーで仕事をシェアすることで,効率が上がりやすいと言われています.
 
ただ,人数が多すぎると怠ける人が出て来るし(大きい組織の常),少人数でもやる気のない人が入ってしまうと崩れてしまいます.メンバーは厳選する必要があります.そして最も大事なことは 『信頼関係』 だと思います.このメンバーは絶対に自分を裏切らないと思えないと,今の仕事に注力して,全力で取り組めないわけです. → これが案外難しく,仮面をかぶる人を見抜くのは大変?
 
そこにも良い人間関係の構築が必須で,5人もの大多数で信頼関係を完璧に構築するのは至難の業,ここで出て来るのが唯一の人,『親友』と呼ばれる存在です.学生時代や結婚するまではそういった関係の人がいたように思いますが,家庭を持ってしまうとどうしてもその関係継続が難しい,家族中心になるのが常です.例えば,毎年集まっていた学生時代の親しい友人たちとの会合も,今は途切れてしまっています(転勤や海外赴任,個人個人の諸事情).信頼関係の構築も難しいことですが,それを継続することは更に難しいと痛感しています.
 
勉強が得意だったとは言えない息子が大学を4年で卒業できたことも,このペアリングだったように思っています(笑).
 
 
2019年09月11日 06:56

かえってつらい,休みが少ないと警告が出る昨今?

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かえってつらい,休みが少ないと警告が出る昨今?
 
今日(9/6),嫌なメールが来てしまいました.
 
有給消化が少ないので取得するようにと人事部から2回目の通達です.とは言え,これでも今年は5日も取得しているので,例年以上に取っているつもりでした. → 前回(5/28)は3日では少ないと,今回(9/6)は5日では少ないと?

インフルエンザに罹った以外で,こんなに休んだことがないくらいお休みをいただいていたつもりでしたが,会社からすれば休みが少なすぎるとの指導,自身の感覚がずれてきているのでしょうか?
 
あえて休む必要もないので休んでいないのですが,人事部曰く,なたが休まないと部下が休みにくいとのことで,模範になれと書いてあります(苦笑).今の小生の働き方は会社の模範にはならないとのことで,指導を受けている現状に戸惑っています.
 
少し前(5年以上前?),めちゃくちゃ忙しい前の職場で,責任感が強く一生懸命仕事をしていた人が何人かいて,年間の有給取得がゼロだったことがありました.勿論,休むなとは言っていないので,本人の自主的な判断,これに対してよく頑張ったねと,年度末の日に自腹で『皆勤賞』の表彰(金一封)をしてあげたら,翌日人事部に呼ばれてこっぴどく怒られました.
 
 『休みたい人が休みにくくなる行動は慎むように!』
 
勿論これも,別に休んでいる人を否定しているわけではないけれど,そんな風に捉えてあえて人事部に告げ口する人がいたことが結構ショックでした! 休みたい人は休めばいいし,それをダメとは言ったことはないのに,休まない方が悪いみたいに言われる?
 
仕事感は人それぞれ,休むか休まないかの裁量権くらいは欲しい...
 
 それを,休みを従来以上に採ることが今の流れ やら
 
 休まない方が悪い と言い合いするよりも
 
自分のスタイルで働かせてほしい,そう切に願っている昨今です.
 → 勿論口には出しませんが,文章にはしていますね(笑)
休みは採ればいい,別に休んでいない人がいても休む人は休みます.休暇の取得は個人裁量,それでいいんじゃないかと思っていますが,人事部の指導はあまりにも一面的過ぎて悲しさを感じています.

 仕事をしている方が気分が充実する仕事人間,
 こういった人たちへの配慮は今のところ議論されていないようですね?

 
 
2019年09月06日 12:51

気分を切り替えるちょっとした工夫!

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ちょっとした出来事で気分を切り替える!
 
  歳を重ねるうちに仕事依存から脱皮しなければならない!
 
日本人男性の多くは仕事依存度が高いと言われています.ただ,歳をとると仕事の中核から外される場合が多く,仕事が変わったことで屍のようになる人が少なくないと,テレビでどこかの住職さんが言っていました.
 
 それは確かに実感するところです!
 
定年後の生き方を考えると,仕事からの卒業が必要なのかもしれません.仕事を2番目,3番目の優先度に落として,何を優先するか,新たな視点が必要かもしれません.
 
 自身の結論として,仕事以外に楽しみを見つける必要があります.
 
と言うことで,直近予定されている楽しみを書き出してみました.
 
・森高千里ンコンサート(10月に昭和女子大講堂)
・劇団四季の山梨講演 → エビータ (10月)
・年末の『スターウォーズ』新作(12月に県内映画館)
・娘の卒業式(来年3月,絶対に行きます!)
 
新聞やネットの情報から,来年1月9日にアリスのコンサートがあるそうで,なんとしてもチケットをゲットする必要があります! これも競争心を煽る楽しみです! → 闘争心!

竹内まりやのライブコンサートが久方ぶりにあるそうです.
 → 39年ぶりだそうです!
来年の4月にライブハウス,大阪と東京限定で,このチケットを取ることは至難の業でしょうか?
 
さて,話は変わって,家内も気を使ってくれる昨今,何故か甲斐善光寺でお土産物を物色してプレゼント? 武田信玄の手ぬぐいと数珠を買ってきてくれました. → 数珠は2割引きだったことが購入の理由だそうです!

仕事以外に楽しみを見つけようといろいろやっているのですが,無意識ではないものの,意識することなく,ちょっとした楽しみを積み重ねることもひとつの気分切り替えになることに最近気づきました!
 
 武田信玄の手ぬぐいを眺めつつ,唸っています(笑).
 
数珠にはこう書かれていました.
 
 果断の気性に富み,難事も意図せぬ良きところがあるも,
 半面,我意強く為に運気取り損なう事あり.
 強情,短気を慎めば,晩年は恵まれる運命にある.
 自我を抑えれば,受福開運必定.
 
当たっている(汗)?
 
2019年09月03日 07:37

駿府城公園にそびえ立つ徳川家康像

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駿府城公園にそびえ立つ徳川家康像
 
この週末(7/6-7),静岡に立ち寄りました.JR_静岡駅から徒歩15分の所に,旧駿府城跡である駿府城公園があり,徳川家康の像が誇らしげに立っています.旅の記念に一枚撮影しました!
 
それにしても,甲府に比較して静岡は都会ですね.駅前に高級ブティックもあり,人ごみもそれなりで,ちょっと驚いた次第です.プチ旅行は気分転換ができていいですね! 甲府から静岡まで,完成していませんが,中部横断高速道路ができつつあるので,アクセス時間は格段に短くなっています(従来,片道3時間超が2時間弱に短縮).
 
2019年07月09日 12:54

こころの病からの労災認定が増加

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こころの病の問題が顕在化しつつある昨今
 
今日(6/29)の山梨日日新聞からです.
 
 こころの病での労災 申請最多1,820件
  昨年度 女性の増加目立つ
 
6年連続の増加,精神疾患の労災認定は465件,うち自殺(未遂を含む)が76件,これらの数値は減少しているそうです.
 
過重労働が原因の脳・心臓疾患による労災認定は238件
 このうち82人が死亡(過労死)だったそうです.
 
特徴的なことは,精神疾患での女性の申請が増えたことで,前年度対比99件増加しています.
 
精神疾患の労災認定を受けた原因としては,
 
・ 嫌がらせ,いじめ,暴行を受けた
・ 仕事内容や量に大きな変化があった
・ セクハラを受けた
 
ただ,労災申請に対する認定率は低下,
 → なんでも申請する傾向が強まっている?
   本当の労災か,労災に見せかけているのかの境目を明確にできないところも課題かもしれません?
 
 過労自殺の認定率は34.5%(前年度比:▲8.9%)
 
 
この記事の横に,こんな話題も出ています.
 
 無給医 大学病院に2,191人
  文科省調査 研究や教育で診断
 
無給医の多くは雇用関係も結んでいないので,労災保険にも未加入だったそうです.
 → 労基署はこういったところを優先して是正していく必要があり,大企業の残業なんて,
   これに比較すると優先度は下げてもいいかもしれません?
   中小企業は全く問題,大企業のしわ寄せが行かないように配慮すべきだと思います.
 
高学歴者が多い医者の世界でも,過酷な労働環境がようやく認知され,腰が重かった文部科学省もここに来て無給医の存在を認めました.
 → テレビの報道を受けてのしぶしぶながらの認知,
   国のやることは何でも義務感のような印象がぬぐえない?
 
今までは分かっていても国は黙認,大学はそれに甘えて経費節減,犠牲者は常に弱い立場の人達です.会社のリストラと一緒で,常に張本人の原因を作った人たちは左うちわです.
 
 これで良いのか? 

  疑問を常に持ち続けてしまいます.
 
 世の中,理不尽なことがまかり通りすぎるように思えます.
 
 
2019年06月29日 10:27

新社会人の意識調査,時代はやっぱり変わっている!

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注目すべき意識調査,新社会人の考え方
 
昨日(5/27)の日経新聞を読み返して,18歳プラスに興味深い記述がありました.
 
 新社会人の仕事意識と生活実態
 
 転職 過半が抵抗なし(56.5%)
 
 貯蓄 1年目で43万円
 
調査結果は 三菱UFJリサーチ&コンサルティング が発信しており,誰でもサイト上から拾えるので,読んでみてはと思います.
 → 娘にはpdfを送付済です! 読んだかな?
 
https://www.murc.jp/report/economy/analysis/research/report_190517/
 
実に興味深い調査結果(2019年5月17日付)がまとめられており,我々中年世代とは異なる思考,仕事感,キャリア構築の仕方が良く理解できました.多くの点で価値観が変わっている事実でもあります.
 → 自分の考え方の古さ(今流でない)は認識せざるを得ないでしょう!
 
この調査報告書を読む限り,自分の古い価値観を大切にしつつも,若い世代に自身の価値観を押し付けてはいけない,時代背景を加味した人間関係の構築の難しさを痛感します.
 → これが昨今の会社における人間形成の難しさかもしれません?
 
日本も 集団(会社,親類・家族,組合)を中心とした時代から,個の時代に変わりつつあることが若者の考えの変化から分かります.実は分かってはいたものの,ここまではっきり突きつけられると認めざるを得ない,と言うワンランクアップした危機意識に変わります.
 
ここでの考え方は,うちの息子が日ごろから言っていることにも近く,これが世代間の意識の違いであり,それらを尊重しつつも自身の自己概念を如何に維持できるか,ここにも 自己概念の揺らぎ が起こるのかもしれない?そんな印象で調査レポートを読みました(笑).
 
 
2019年05月28日 06:54

自己概念の揺らぎ

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自己概念の揺らぎ
 
昨日(5/25),JCDA山梨地区会活動の一環として,新規会員のピアトレーニングと懇親会がありました.ピアトレは今年2回目, ピアファシリテーター有資格者,JCDA_西関東支部顧問の下田英樹氏が講師としてわざわざ岡山から教えに来てくださいました(感謝).
 
今回のピアトレは密度が濃く,真剣勝負の4時間(疲),大変勉強になりました.その内容詳細は守秘義務があって書けませんが,ファシリテーターが説明してくれた,『自己概念の揺らぎ』がとてもしっくり来た(腹落ちした)のでご紹介したいと思います.
 
『自己概念の揺らぎは』 についてはJCDA会長の立野了嗣が【CDA友の会】会長便り:第31回 「自己概念の揺らぎ」で述べられているフレームワークです.昨日のピアトレでは,このフレームワークに当てはまる討議が成されたので,これまでになく白熱したと言うことです.
 
 人は自己概念に揺らぎが出る時に苦しむ!
  → この揺らぎは見たくない自分を見てしまうと言うことです.
 
ちょうど今リメイクされた『白い巨塔』である場面が重なったので,その部分から説明したいと思います.
 
白い巨塔の原作を読まれた方は多いと思います.山崎豊子さんの代表作の一つです.国立大学講座制に伴う大学病院の組織の在り様と医療裁判を取り扱った,実にリアルな内容で(半分は本当?)何回見てもハラハラします!
 
ドラマ終盤で主人公の財前五郎は医療裁判で裁かれます.手術を担当した患者の死に際して医療ミスを指摘され,その証言に立つ里見脩二(財前の同僚)は財前の医者としての倫理観について激しく糾弾します.これによって里見は浪速大学病院を追われることになります.対して,証言の立場的に厳しい,正直に証言することを許されない財前第一外科の柳原雅博医局員は,財前教授に偽証を強制されます.診断書も修正しなければならないジレンマに追い込まれます.
 → 最後は罪悪感に勝てず,真実を述べるのですが...
 
この柳原医局員が体験した,自身の信じるところ,これは医者として自身が思い描くあるべき姿であり,医療倫理に基づくところでしょうか? それを自身として維持しきれないところで精神的に追い込まれていくわけです.
 
柳原医局員の自己概念: 医者としてのあるべき倫理観
 → 救えた命を大学病院の権力が故に救えなかった.このあってはいけない事実を認識しているものの,
   対外的には認めてはいけない,嘘の証言をしなければならない.
 
この状況こそ,まさに自己概念が揺らいでいる瞬間だと思います.自己概念が揺らがなければ,正直に財前教授の医療指示を,事実に基づき説明すればいいのですが,それができない! 事実に基づく説明をすると財前教授の立場,強いては浪速大学病院の看板に傷をつけることになります.
 
柳沢医局員は一審で偽証を強いられ,自己嫌悪間に襲われ,最終的人はその罪悪感から真実を述べるに至ります.
 → その間の心の中での葛藤は自己概念があるが故に揺れる自分,
   自己概念を貫徹できないところに人が人として生きていくことの難しさがあるのです!
 
これは何も医者の世界に限った話ではありません.どこの会社でも,あってはいけない法令違反や,お金の横領が無くならないのは,当人の責任もあるのでしょうが,外部からの圧力,特に組織における上位者からの半強制的な指示によるものだと思います.倫理観の低い上司の下で働かざるを得ない場合に起こる状況でしょうか?
 
正義感が強い人間であるほど,倫理観を欠如した上司の指示や理不尽な扱いに対して,
 
 『それは違います,間違っていませんか?』
 
が言えない場合が多き,それに悩まされてしまうわけです.そのはざまで自己概念が揺らいでしまうことになります.
 
この自己概念に揺らぎこそが,ヒトを追い込む,メンタル的につぶされてしまう組織が持つ大きな問題のひとつだと思っています.個人業ではそれが少ないですが,組織として人が集まると絶対に起こってしまう問題だと思います.
 
 人は権力を持つと,その権力で権力に従わざるを得ない人に
    自己概念に沿わないことをやらせてしまうと言うことです!
 
カウンセリングは,この自己概念の揺らぎにどう対処するか?
これが新たに生まれた命題であり,永遠のテーマでもあるわけです.
 
自分自身に当てはめても,そういった自己概念が揺らいだ経験は数知れずあるわけで,
 
『それがサラリーマンだろ?』
 
と言われてしまうと,それで終わりですが,簡単に割り切れない,大きな問題でもあるわけです.
 
 組織を離れる勇気が無ければできないことが
  自己概念を貫くことなのかもしれませんね!
 
 
2019年05月26日 13:05

理不尽と闘うために必要なお金

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理不尽と闘うために必要なお金

今日の日経新聞,私の履歴書からです.今月(2019年5月)は脚本家の橋田寿賀子さん,あの大物脚本家にも苦労した時代があることを驚きで読んでいます.それにしてもです,さすが脚本家,読んでいてとても面白い文章が書けていることに感心します.自分もこうありたいものです(苦笑).

さて,今日(5/17)の回顧は結婚に至る経緯を面白おかしくまとめておられます.ご主人は4歳年下,残念ながら既に他界されていますが,夫婦仲はよく,亡くなられた際の落ち込みは大きかったと(初回回顧より,涙).

さて,橋田寿賀子さんが結婚するに至った経緯は,橋田さんの一目ぼれ,とは言ってもそれだけではなくいろいろと結婚メリットを計算した背景がつづられていました.

当時ご主人となられる岩崎嘉一さんはTBS社員で,結構な給料をもらっていると推察されたようです.

「結婚したら生活は安定するし,
夫の給料袋の後ろ盾があれば理不尽な横やりとも戦える.」

この文面は響きましたね!

人間社会,組織に所属すると,この理不尽とどう戦うか,会社から給料をもらっていると,理不尽なことでも従うしかなく,それが戦意を失うことに繋がり,人はどんどん萎えていくわけです.だから出世したもの勝ち,出世出来なかった人はお金に縛られて言われたことをやるしかなくなるのです.

その理不尽に耐えることも給料の高い低いに依り対応が変わります.給料がそれなりにもらえてしまうと耐えることができますが,安い給料だとその理不尽に従うことはありません.
→ どうせやすい給料なら職環境を変えて気分一新しよう!

要は,世の中はお金によるところがここにもあると言うこと!

給料のレベルが理不尽への抵抗力の強弱を決めるわけです.その理不尽に耐えるべき対価としての賃金,その基準は個人ごとに違うと思いますが,その基準を下回った時が組織を離れる時なのでしょうね?

 
2019年05月17日 07:01