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定年後も仕事を続けるには、結局は出世することか?

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定年後も仕事を続けるには、結局は出世することか?
 
来週末、突然の60歳定年前面談(死刑宣告?)になりました。面談に臨むにあたり、少し勉強しておこうと、以前に筑波大学の講座で教えて頂いた「高齢者心理学」なるものを再度整理しておこうと思い立ちました(苦笑)。
 
高齢者心理学は、高齢者を対象として、知覚、認知、学習、知能、感情、パーソナリティ、社会関係、臨床等と言った心理学で扱われる概念について研究され、発達心理学の一領域と考えられています。
 
また、発達理論では「発達=生涯過程」と考えることが一般的で、成熟状態ないしそのピークを仮定しないとしていますが、現実的に歳をとることをそういった概念フレームに当てはめることは困難であり、発達理論の一般的な理論的に当てはめるには限界があるので、新しい心理学領域として成り立ってきたと理解しています。
 
一言で言うと、
歳をとった人の成長(=老いる)
発達はするけれど減退が主になるので、
従来理論とは異なり、ちょっと特別に考えよう!
 
歳をとることは、体の衰えによる活動力の低下や病気、経済的には収入が減るので貧困に繋がる場合もあります。昨今の個の重視、核家族化によると孤独や引きこもり等ネガティブな特徴で捉えられる場合も少なくありません。
 
高齢者心理学にはおおざっぱに3つの流れがあるようで、まずは、年寄は田舎に引っ込んで引退する方が良いとする理論です。
 
離脱理論disengagement theory
カミングとヘンリーによって1960年代に提唱されました。
歳をとることは高齢者と社会の相互作用が減少していく過程であり、
高齢者と社会が離れていくことは避けられないことを基本理念として、
高齢者は自らが社会からの離脱を望むとしています(?)。
社会は高齢者が離脱しやすいような仕組みを構築し、
高齢者を楽に離脱させてあげるべきだと説いています。

この理論、歳をとることで弱者たることを決めつけられているようで、あまりしっくりと受け入れられない印象です。

離脱理論に対しては、対抗理論が出ています。

活動理論activity theory: 
ロバート・J・ハヴィガースト(6つの発達課題の提唱者として有名)らによって
1960年代に提唱されています。健康問題などの避けられない理由を除き、
高齢者であっても働く世代と同様な働く欲求は持っており、
高齢者の社会活動からの引退は外側からの撤退勧告であり、
多くの高齢者からが望む現状に反している。
望ましい老後への対応とは、可能な限り現役労働者の活動を維持することで、
仮に退職などで活動を離れなければならない場合は、
代わりの活動を見つけ出すことによって生きる活力を維持すべきものである。

この理論の方がしっくりくるような印象です。どちらが正しいか、当然のごとく論争が起こり、どちらにも認めるところはあるとのことで第三の理論といえる継続性理論に繋がっていきます。


継続性理論continuitytheory: 
Atchleyらが1987年によって提唱された考え方です。
高齢者が過去の経験やこれまでにはたしてきた社会的役割などを
活かすような選択を行い、社会もそれによって安定すると言う考え方です。

<2つの継続性>
内的継続性(internal continuity): 
自己概念、人生観、価値、信念などが他者と区別されており、
その人らしさを形作っている傾向からの継続性

一般の人はこちらだと思います。
残念ながらこの理論からは継続に関わる具体策は見いだしにくいですね?
 → 精神論主体の考え方までしか言っていない?

外的継続性(external continuity): 
社会的役割、活動、立地条件などが構造化されて、
他者とは異なる独自の生活構造やライフスタイルを形作る傾向からの継続性

出世コースに乗った人はこちらのように思います。

他者とは異なる独自の生活構造

地位を勝ち取れれば外的要因による活動の継続が保証される、平たく言えば、会社や役所に役員として居残りが許され、給料もポジションも継続され老後の安泰に繋がる、と言うことですね!

老後の生活安泰、結局は出世して自身で勝ち取りなさいと、そんなメッセージが裏にある理論体系のように感じてしまいました。

出世できないその他大勢の一般サラリーマンはどうすべきか、ここを具体的にどう導いてくれるか、そんな理論が欲しいところです(苦笑)。

 
2021年09月04日 11:48

「どうでもいい仕事」で悩まされる皆さんへ!

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「どうでもいい仕事」で悩まされる皆さんへ!
 
今日(8/30)の日経新聞 Opinion には素晴らしいコラム記事が出ていました。
頭を殴られたような印象で、核心を得た指摘だったことから
これまでのもやもや感が薄らいだ印象です。
今日はどうでもいい仕事に関わらざるを得ない悩める人たちに
処方箋を提供できる可能性を感じています。
 
「どうでもいい仕事」の放逐(ほうちく、追い払うこと)を
 
このテーマを研究している原著は
ブルシット・ジョブ / クソどうでもいい仕事の理論
  ( David Graeber著 / 岩波書店)
 
今までいろいろと悩まされていた自分自身への言葉だと直感的に思いました。
本書がこれまでの悩みに答えてくれるように思い、アマゾンで即購入しました。
 → 従ってまだこの書籍は読んでいません。明日入手予定!
 
さて、今日の日経コラムに何が描かれていたかと言うと、
まずは「ブルショット・ジョブ(どうでもいい仕事)」の
存在が明らかにしています。→ やっぱりあったんだ!
 
どうでもいい仕事とは下記のように定義されています。
おそらく多くの方がやらされ感満載で携わっているのではないでしょうか?
 
1 フランキー(取り巻き): 誰かを偉そうに見せるための取り巻き
ドアマンや受付係、政治家(首相官邸周辺は特に)の周りにいっぱいいますね!

2 グーン(脅し屋): 雇用主のために他人を脅したり欺いたりする脅し屋
ロビイストや企業の顧問弁護士、最近はいませんが総会屋なんかもその部類?

3 ダクト・テーパー(尻ぬぐい):誰かの欠陥を取り繕う尻拭い
バグだらけのコードを修復するプログラマー、
みずほ銀行のシステム障害はまさにこの部類だと思います!
最後は中小企業に丸投げのシステム開発はまさにこの部分が関わる?
 
4 ボックス・ティッカー(書類穴埋め人):誰も読まないドキュメントを永遠に作る
組織がやってもいないことをやっていると主張するために書類を作るだけの仕事
誰も読まないプレゼン資料や報告書などの書類を作ることが業務のシンクタンク

5 タスクマスター(ブルシット・ジョブ量産人):人へ仕事を振り分けるだけの仕事
一部の中間管理職、コロナ禍でその範囲は広がったと言われています。

 
表面的な対処のみでこれら問題を放任してきた日本では
働く人の「活力」、「熱意」、「没頭」が低く、
日本企業の活力低下に繋がっているとの指摘です。
 
根底にある労働力低下の原因のひとつは
 
働く人の心の問題を放置してきたから
 
まさにその通りだと思いました。
 
ですが不思議なことに、どうでもいい仕事の給料水準は業務負荷の割に高く、
エッセンシャルワーカーよりも厚遇されています。
働かずして収入が得られることは、経済的には恵まれていると言え、
一見望ましいことのように感じられますが、ここには心理学的な論点が無く、
それを加味した見解は下記です。
 
意味のない仕事は、その仕事に従事する人を惨めな気持ちにさせ、
時には脳に損傷を起こすほどのダメージを与えるそうです。
心理学には「意味構成主義」と言う考え方があります。
 
人は何らかの意味を深掘りする存在
 
仕事において普通に考えると、
人はそこに何らかの意味を求めているはずなので
ブルシット・ジョブに関わると言うことは、
人から仕事をする意味を奪う精神的暴力だとも言えるようです。
 
その処方箋は、詳細には著書をお読みいただきたいのですが、
「ブルショット・ジョブ(どうでもいい仕事)」を減らし(無くなれば理想)
意味の実感できる仕事を増やすことであり、
論説委員はこれを働き方改革の本丸と言っておられます。
書かれていることの何から何まで、まさにその通りだと納得しています。
 
 
仮にですが、どうでもいい仕事で悩まされている方がいれば、
一緒に語り合いたい、そんな気分です!
 
 
2021年08月30日 10:00

ジェンダーステレオタイプ

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「~らしさ」と言うジェンダーバイアスの危なさ!
 
昨日(8/25)からの日経新聞、Nextストーリーからです。
思い上がれない女性たち、今の日本女性を表す用語に、
 
 インポスター症候群 が 紹介されています。
 
インポスター(Imposter)は英語で「詐欺師」や「偽物」という意味です。「自分には能力や実力が無いにもかかわらず周りを欺いている」という自己否定的な意識を持ってしまい、自己評価が低くなる心理的傾向を指します。必要以上の謙遜意識がネガティブ思考に繋がり、自身を卑下する言動も多くなります。仕事で成功していても、

「現状の成果は自分の能力や実力ではなく周囲のおかげ、運が良かっただけ」

 だと思い込み、どうしても自身の力を信じられない心理状態にあることです。
 
女性がどうあるべきか、多くの方がこの言葉に悩んでいる現状は日本独特ではないとはいえ、日本ではその傾向が特に強いようです。
 
 「女らしさ」 の 壁
 
日本では進学の際に文系か理系を選択することが一般的で、早い場合は高校入学と同時に進路を選択しなければなりません。その際に出会う典型的なジェンダーバイアスが、大学専攻にマッチングしている「男らしさ」であり「女らしさ」だと思います。
 
ジェンダーバイアスとは、性差による固定概念で、その典型が「女らしい」、「男だろ」と言った性的な役割への思い込みが含まれています。これが全くない人はいないと思いますが、良い意味でも悪い意味でも使われるので要注意な概念です。
 
典型的な古い考え方として、男は外で働き、

 女は家を守る(子供を育てるのは女の仕事)、

昔の女子大では女性教育を「良妻賢母」の育成としていましたが、今の時代にこんなことを言ってしまったら大変なことになります(汗)。
 
理系に進学する際、最近でこそ言われなくなってきましたが、女性が理系進学を口にすると、
 
 「理系に進むと結婚できなくならない?」
 
そんな発言が親からも親戚からも、そして周りにいる友人からも出てきたように記憶しています。大学時代を振り返り、自身の周り(40年くらい前)で理系大学に進学した女性は少なく、電気電子系学部の学年400人で女性は4人でした。
余談で面白いことに、卒業時のトップはその4人のうちのおひとり、現在は母校で教授として教鞭をとられており、女性の優秀さは身を持って体験しています。
 → 理系は男性向きと言う考え方は明らかな間違いかと?
 
ジェンダーバイアスを如何にして打破するか、最近の「ライフスタイル」重視の生き方にはまずはのしかかってくるところだと思っています。更に最近、こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
 
 ポジティブ・アクション
 
厚労省サイトには、下記のように説明されています。
 
ポジティブ・アクションについて一義的に定義することは困難ですが、一般的には社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいいます。(サイトから引用)
 
https://www.gender.go.jp/policy/positive_act/index.html
 
この文面には女性限定の概念として示されてはいませんが、
 
日本における女性の参画は徐々に増加しているものの、他の先進諸国と比べて低い水準であり、その差は拡大しています。これまでの延長線上の取組を超えた効果的な対策として、暫定的に必要な範囲において、ポジティブ・アクションを進めていくことが必要です。(サイトから引用)
 
世論調査の結果などを見ても、我が国は、固定的性別役割分担意識に関しての偏見が根強いことがうかがえます。また、現状では男女の置かれた社会的状況には、個人の能力・努力によらない格差があることは否めません。こうした中、実質的な機会の平等の確保が必要となります。(サイトから引用)
 
「女性らしさ」に同じくする男性側のジェンダーバイアスがあり、例えば、女性が働き男性が家事を取り仕切る場合には、「男らしさ」の反対側に来る生き方となります。国の施策としてポジティブ・アクションと言った言葉が出るうちは、人の意識(他人の目)の内面を認識して、逆風に立つかもしれない覚悟を持ち、自分のライフスタイルを決めていく必要があるかもしれません?
 
 ジェンダーに関する考え方、
  一言でどうだとは言えない難しい局面にあることだけは間違いないようです。
 
 
 
2021年08月26日 11:49

威張る人の真理は勘違い?

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会社の看板を背負って人と付き合うな!
 
今月(2021年8月)の日経新聞、
私の履歴書は元中外製薬名誉会長の永山修氏です。
国際人でらっしゃることもあり、読んでいて凄いなと思います。
そもそも高次元で成功する方のヒストリーは
凡人とはまったく異次元であると再認識するところです。
 
今日(8/12)の回顧録ではロンドン駐在時代の話が出ていて、
お世話になった白洲次郎氏から赴任に際して言われたこと、
これがまさにまとを得たアドバイスだと思いました。
 
 海外赴任に際して、
 会社の看板を背負って人と付き合うな!
 
海外に出てしまうとどうしても言葉の問題もありますが、
日本人同士がつるんでしまいます。
食事や休日は職場の日本人ばかりの人間関係、
せっかく異文化に触れるチャンスがあったとしてもそれが活かされない?
現地の方々と積極的に交流をしない場合も少なくありません。
 
今日のこのコラムを読んで思い出したことがあります。
自身の海外赴任経験はないのですが、
コロナ禍前の平和だったころ、海外の子会社に出張に出向く機会があり、
年に数回の東南アジアの海外出張をこなしていました。
米国も何回かその間に出向いていますが、
モノづくり拠点は何と言っても中国と東南アジアです。
 
仕事を終え、たいがいは海外駐在者が食事に誘ってくれます。
勿論そうでない場合は、適当にホテル周辺で食事をとりますが、
仕事以外の対応は海外拠点の責任者のパーソナリティでかなり異なりました。
 
日本人ばかりで食事をとる場合と、現地スタッフも織り交ぜて行う場合と
極端に雰囲気が異なっていたように思います。
中でもタイに出張した際のことがとても印象に残っています。
現地法人の社長と言われる方は結構変わり者と言われており、
本社からはあまりよく言われていなかったのですが、
行ってみるとその印象は全く逆、大変心地良い経験になりました。
小生が帰国する日に現地スタッフを呼んだパーティに参加させていただき、
本当にアットホームな雰囲気を体感できたからです。
 → 正直言って、心の底から楽しめた会合でした!
 
その方はまったく威張らない、横柄ではない、
現地スタッフと対等に話をされており
観ていてとても気持ちが良かったです。
 
その方は会社の看板である現地法人の社長と言った肩書を
全く意識させない人付き合いができていて現地スタッフの気持ちを掴み、
職場の雰囲気がとてもよく、仕事もやり易かったと記憶しています。
 
また、これとは全く逆のケースもありました。
俺は社長だ、そんな雰囲気がプンプンして現地スタッフが近寄らない?
職場の雰囲気はあまりフレンドリーではなかったように思いました。
 
海外以外でも、会社にいても同じような経験があります。
会社の肩書で態度を変える人は少なからずいますね。
小生に対して職制で下にいる時の態度、その時は馬鹿丁寧でしたが、
それが逆転すると手のひらを返したかのような横柄な対応をする、
その変わり様が極端な場合には驚かされますが(笑)、
それはそれでしょうがないと、次からはそれなりの対応をこちらも心掛けるようにしています。
 
 会社の肩書で付き合っていた方々はプライベートにお付き合いしない、
 先方も嫌々付き合っていたのであれば、お互いに無理はしなくてよい、
 そう割り切れる方が経験的に 半数くらい はいたように思います。
 
会社の看板は個人の付き合いをする場合には掲げるものではないと思います。
勿論、仕事をする場合には会社の代表として掲げる必要もあるし、
仕事をしている場合は会社の看板に傷をつけないような配慮は必要です。
ただ、それをはき違えて会社の看板で自分が偉くなったと勘違いしてしまう?
会社の役割でしかないのに役員になったりすると 「自分は偉いんだ!」
みたいな錯覚に捕らわれたとしたら、役割はあくまで仕事上の話であり、
プライベートなヒトとしての付き合いには関係ない、
だから 威張るな と言いたいですね。
 
 逆説的に、威張りたいから出世を目指すと言うのは
  あまりお勧めしない生き方かもしれません。
 
出世できないヒトの戯言ではありますが、
今日の永山さんのコラムにはちょっと感じるところがありました。
 
 
2021年08月12日 08:51

近くて遠いオリンピックにもの悲しさを感じる

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近くて遠いオリンピックにもの悲しさを感じる
 
今住んでいる社宅から歩いて20分程度の距離に
東京オリンピックの馬術競技会場である馬事公苑があります。
 → 世田谷区の住宅街ど真ん中にあります。
 
週一程度で散歩コースとして歩いているのですが、
オリンピック開催予定期間前(2017年1月~)から
ず~とフェンスに囲われて近づけない状況になっています。
まだ工事は続くとのことで(第2期)、2023年秋まで閉鎖が続くそうです。
 
残念なことに、
こちらに来て一度も立ち寄ることができずに終わりそうです。
 → 馬事公苑は外周の散歩のみになりそうです。
 
せっかく立派な観客席を造ったのですが、
使われずにオリンピック・パラリンピック閉会後に解体となります。
 
改修費の総額は294億円だったそうです。
 
せっかく近くでやっているので、
コロナ禍であることは重々承知していますが、
もう少し開放的(サービス?)であっても良いように思います。
 
国民はテレビで見ていれば良い、
それはそうかもしれませんが、なんだかもの悲しささえ感じてしまいます。

都内にいるけど立ち寄れない、故に余計に物悲しく感じる、
これも心理的な効果のように思えます。


 
 
2021年08月04日 15:00

不安や不快を閉じ込める自我の防衛機制

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誰にでもある? 不安や不快を閉じ込める自我の防衛機制
 
今朝(7/23)、偶然ですが、朝のNHK 「ここから」では
漫画家 ちばてつや の放映を見る機会がありました。
 → その後、NHK+ で 3回見ました(笑)
   なかなか興味深い映像、よろしければ皆さんご覧ください!
 
ちばてつやさんの代表作
あしたのジョーでも戦争体験に向き合っていたとのことでした。
小さい時の記憶だけれど、蓋をしたままではいけないのでは、
そう思ったことがストーリーに現れた一幕があったそうです。
 
ジョーの対戦相手である韓国人ボクサーの金竜飛の過去、
彼の子供時代はまさにその表れだったそうです。
 → 満州からの引き上げ時の話が重なった。
戦時中の金竜飛少年は飢えに飢え、誤って父親を殺してしまいます。
この話はまさに無意識に閉じ込められたちばさんの記憶から
 
戦争の現実を伝えたい
戦争の残酷さを経験から描く
 
蓋をしていたはずなのに、ふ~とその蓋が開いて
無意識のうちに表現したいと感じたそうです。
 
この無意識のうちに、意識の下に眠る閉じ込められた過去の記憶
これがちばさんの苦痛であり、不安であり、不快に繋がっていたようで
それを描かなければと背中を押されたように思います。
 
人は自身が見たくない不合理なものを意識の下に無意識に沈めます。
これはメンタル不全にも繋がります。
メンタル不全は以外に自身ではその原因を見いだせないことがあり、
それが故に多くの人が悩み苦しむように思っています。
 
フロイトが提唱した精神心理学に現される心理療法は
意識の下に眠る無意識を治療の対象にすることが特徴です。
精神療法では無意識の不安や不快感を吐き出すこと、
無意識に沈めている意識領域の自我が行う防衛機制を
明らかにすることから治療を進めます。
古いと言われるフロイトの精神心理療法ですが、
今日のちばさんの話を聴いていると、
まだまだ使える一面があるように思いました。
 
ちばさんは自分なりに漫画で心の内を描きながら
自然に精神療法を成しえたのかもしれません?
 
更に今回の映像を自分なりに深掘りすると、
ジョーの生き方は無意識にちばさん自身の気持ちを
表していたように思いました。
 
ジョーにしても、力石にしても、少年院あがり
決してエリート人生を歩んできたわけではなく、
世間的には道から外れた問題児として描かれ始めています。
そんな彼らですが、やるべきことを見つけて自分の道に進んでいく、
一度道を踏み外しても修正はできると言うこと、
このキャリア感が描きたいと考え、
個々のキャラクターに代弁させていたのではないか?
うどんを食ってボクサー人生を挫折しかけるマンモス西も
その代弁者だったように思います。人生的には成功します。
戦後の混乱期に自分の中にかみ砕けない何かがあり、
矛盾を抱えたちばさん自身のこころが漫画のキャラクターの中にいた?

そんな写像的一面を感じた次第です。
 
無意識の中にある意識の下に閉じ込められた自我の不快感や非合理性は
誰にでもある事象なのではと感じたています。
勿論、自分の中にもあると思っています。
 
 
2021年07月23日 17:32

あるきっかけから始まる奉仕・社会貢献

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あるきっかけから始まる奉仕・社会貢献
 
今日(7/11)朝のNHK番組 桂文珍とサンドウィッチマンの対談からです。
 
お笑いで今やトップとも言えるサンドウィッチマンマンが、
大変胸打つ話をしていたので取り上げたいと思います。
 
話しは遡って東日本大震災の当日、
彼らは東北でのレギュラー番組の撮影のため、
宮城県気仙沼市を訪れていたそうです。
地震発生の2011年3月11日午後2時46分は、
撮影がちょうど休憩に入ったところで、
そこに突然の凄まじい揺れを体験したそうです。
 
彼らがいた海沿いは30分以内には10mを超える津波が来るとの情報が入り、
スタッフの迅速な対応で安波山にたどり着いたそうです。
その後に彼らが目にした光景、気仙沼に押し寄せた非日常的な
津波の存在を目の当たりにすることになります。
昼間にロケをしていた気仙沼の町は火の海になっていたそうです。
ロケに来てくれたお客さんにも亡くなった方がいたそうです。
 → 逃げ方を間違うと死んでしまう、そんな状況だったそうです。
 
彼らが凄いのは、番組中で言っていた言葉に
 
自分たちは生かされたと思いました、
  だから東北のために何かしなくてはいけない!」、
 
そう思ったそうです。
 
そんな経験がサンドウィッチマンが芸人人生を懸けた
奉仕・社会貢献的な決断に繋がったそうです。
 
自身のキャリア軸に「奉仕・社会貢献」を置く方がいます。
このきっかけがこう言った大きな災害である場合も少なくないようです。
彼らの貢献は広く知られていますが、詳細に調べてみると
例えば義援金の立ち上げ、被災日後の東京で
『東北魂義援金』立ち上げの記者会見を行っています。
 
テレビ局スタッフの適切な対応もあり、
(ここにも感謝の気持ちがにじみ出ていたのが彼らの愛されキャラ?)
地獄の気仙沼から生きて帰れたからこそ、
震災の当事者として伝えることを「使命」と感じたそうです。
 
実は彼らの活動はこの震災の話に限定されません。
他にもいろいろな社会貢献に携わっています。
その一つで特に印象的な活動がNHKの「病院ラジオ」、
彼らが(重度な病気にかかっている方が入院する)病院に出向き、
2日間限定のラジオ局を開設、収録を行う番組です。
→ ネットでも見られるので、機会があれば見ていただきたい!
 
特設ブースに入院患者やその家族らをゲストとして迎え、
病魔と闘う現状を赤裸々に語ってもらい、
心の底からの本音を吐き出してもらう企画です。
ちょっと感動モノ、涙をそそられる場面すらあります。
 
今日のサンドの話を聴いてですが(なるほど感)、
初めから奉仕・社会貢献への適性を認識できていない人も、
あるきっかけで変わることがある、
そして、他の職適正を併せ持つ人もいるのだと再認識できました。
自分に最適なキャリアは必ずしも一つではない場合もあるようです。
 
 社会に貢献する仕事、
  それはどんな仕事であっても派生する可能性がある!
 
お笑いと言う、対局のような仕事においてでも
志ひとつで社会貢献できることがあるわけです。
 
追伸、彼らのとった行動が「売名行為」と批判され、
悩んだ末に彼らがここまでやり抜いたことも
忘れないでいてあげてください。
 
 
2021年07月11日 09:10

教養としての心理学101

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教養としての心理学101
デルタプラス編集部 (編集), 心理学用語集サイコタム (監修)
 
心理学系大学院受験のために参考書としての推薦書
 
心理学系人気サイト 「サイコタイム」 が書籍になりました。
 
https://psychoterm.jp/
 
サイトの完成度もかなり高く、
カテゴリーも分かりやすく重要タームを抽出しており、
最低限の知識はここから身に着けることができるように思います。
 
心理学系大学院受験のための勉強をどうすればいいのか?
余りにも学習範囲が広すぎて 「???」
困っておられる方は本書を参考に受験勉強するのも一手です。
特にお勧めは、サイト情報と本書を併せての学習、
実に効果的な心理学の教養が身に付くように思います!
 
更に本書がお勧めなのが、
各ページにある 「覚えておきたいターム」
これを全て説明できるようにしておけば、
心理学系大学院の試験は8割方対応できるのではないかと
今は思っています(それでも2割くらいは外すかもしれません?)。
 
2021年06月16日 19:39

キャリア開発での厄介な問題

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キャリア開発での厄介な問題
 
昨日からの続きです。
「組織に尽くす時代」から「個の時代」へと変化、
「セルフ・キャリアドック」と言った取り組みが組織に広がり、
企業側でも社員教育に積極的に取り組むよう文科省も推奨しています。
 
 個人が輝くキャリア形成へ
  本来はそうなるはずだったと思います。
 
ただ、組織に所属する限りにおいて、逃れられない大きな問題があります。
 
 異動 です!
 
特に日本のメンバーシップ型雇用では
個人の知識やスキルに応じた職務とは関係ない異動も多く、
異動の度に業務の専門性が変わってしまう…
そんな経験をされた方は多いように思います。
 
今までやってきた専門性はいったい何?
頑張って資格取得、人脈もそれなりにできて来たのに…
 
更にです、生涯現役化の流れは70歳まで、
少ない年金で暮らせるかは疑問なので、
もしかしたら80歳まで働く必要があるかもしれません。
 
であるのに、50歳を超えると多くの人にやって来る
 
 肩たたき
 
異動と言うたてまえで(本音はお荷物宣告)、
辞令1つで全く知らないところに送られ
給料はもらえるのかもしれませんが、
やりがいも達成感もない無味乾燥した場所で
長い時間を過ごさなければなりません。
 
そんな環境でどんなキャリア開発が必要なのか?
 
多くの中高年はそんな悩みを抱えているように思います。
勿論、出世街道を順調に突き進まれる方もいるし、
日経新聞の「私の履歴書」に載るような方には
そんな悩みもなく死ぬまで忙しく、
やりがいに事欠くことはないかもしれません?
 
とは言え、いつかは現役を退く時はやってきます。
見方を変えれば、その日が早いか遅いかだけかもしれません。
 
肩たたきが来たらどうするか?
 
簡単に言えば、
 
 絶対に腐らない
 能動的に動く姿勢を崩さない
 人と人の繋がりを途切れさせない、継続する
 
そして、こんな時代に必要な最重要なものとして

Michael Osborne は
 「戦略的学習力(Learning Strategies)」
             を提唱しています。
 
意図的に学び続ける力を持とう、と言うことです。
死ぬときにどんな思いで死ねるか?
 
 「いい人生だったなぁ~」
 
そう言って安らかに死ねることが
理想のキャリア形成ができたと言うことだと思います。
 
 
2021年06月05日 13:05

モチベーションを科学する!

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モチベーション管理から開発へ
 
キャリア開発の考え方にモチベーションの考え方があり、
モチベーションには管理と開発があります。
 
モチベーションにおける2つの視点
 
  • モチベーション管理:モチベーションを組織の視点から管理・活用すること
  • モチベーション開発:モチベーションを一人ひとりの多様性で、
    個に見合った自分らしさに気付き、それを掘り起こして発揮すること
 
死ぬ前に人生を振り返り、
 
 自分のキャリアが輝いていたとの思いはどこから来るか?
 
それを考える時、
 
日々の目標達成や業績向上に打ち込んでいた時か?
 
目標とする業務上のポジションや報酬を得た時か?
 
自身が求める自己実現の形を達成できた満足感を得た時か?
 
  如何でしょうか?
 
業務上の出来事を死ぬ前の最後に言葉に残し
亡くなる人はいるのかということ、
最後の瞬間に何を考えて人は死ぬかです。
 
 「あの時、営業成果をあと100万円の伸ばしておければ、」
   そんなことを言い残して死ぬ人はおそらくいませんよね?
 
充実感は、業務を自分の仕事に変え、
それを通して自己成長できたこと、達成感や納得感を持てた時、
内面的なものである場合がほとんどだと思います。
 
モチベーション開発に話を戻すと、
内在的な満足度がモチベーションをより向上させると思います。
 
ここで最近言われるもう一つの視点、
 
OJT → OJD or OJC へ
 
OJT:on the Job Training(組織の視点からのコスト型教育)
OJD:on the Job Development(個人の成長を促す投資型教育)
OJC:on the Job Collaboration(個々人が相互成長を促す価値創造型教育)
 
人材育成には短期的なスキルや知識獲得も重要で、
これが従来からあるOJTの位置づけだと言われています。
これは組織の視点が強く、組織のニーズに沿ったコスト型教育です。
 
対して昨今、人材開発の視点からも注目されている
内在的な個人能力を伸ばす教育、中長期的な投資型教育であるOJD
そして価値創造型教育であるOJCに繋がっていくことが
理想ではないかと! この視点も内的心理に向かっています。
 
組織に貢献するキャリア形成から
自分自身の自己実現への満足感を重視した考え方に変化している!
→ これはプロティアンな生き方へのシフトでもあります。
 
モチベーション開発とはすなわち、生き抜く力の開発であり、
これを所属する組織に頼るだけではなく(利用はすればよい!)
自分自身の責任で達成することなのだろうと思います。
組織貢献は自己責任でのキャリア形成が大前提の
次のステップだと思います。
 
矛盾に満ち溢れる世の中に対して、
理不尽極まりない人間関係に対して、
予測不能な状況で生きて行かなければならない不安に対して、
 
それが組織に管理されるモチベーションから
自己責任で開発するモチベーションに変得ることで乗り切っていく、
そんな考え方が今後は必要になっていくと思っています。
 
でも、現実ではそれを阻む要因もたくさんあります。
明日はこの点を考えてみたいと思います。
 
2021年06月04日 22:59