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給与激減年齢を探る、民間給与実態統計調査から

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給与激減年齢を探る、民間給与実態統計調査から
 
いろいろと調査をしている中で、公開資料として面白いものがありましたのでご紹介します。
 
国税庁の調査結果です(令和2年)。
 
最近話題の定年後の給与水準ですが、この定年をどう設定するかで違った見解となり、給与の増減も人それぞれのようです。定年を役職定年としてみた場合、役職定年後に給与水準が大きく下がるとの話があります。給与が何処から下がるのかをマクロに調べてみると、55歳以降ではなく、60歳以降が変化点のようです。
 → 役職付きでない人もたくさんいるからと推察?
 → ただ、役職を離れても給与が下がらない人も一定数存在?
 
実は55歳以降では平均すると現状維持が大多数なようで、現段階でも給与が激減するのは60歳以降となるようです。
 → 会社役員以外はほぼ全員の給与が下がる臨界点が60歳
 → ただし、男女で傾向としての違いがある。
 
男女で違いを見てみるとその差は歴然、マクロに見ると(大多数の平均傾向)、女性は20代後半以降でほとんど給与は上がっていません。にもかかわらず、60歳以降で給与が激減とは言わないまでも、男性と同様にやっぱり下がっています。
 → 現状維持にならないのが不思議?
 
20代前半までは男女の差がほとんどないのに対して、20代後半から給与水準差が出てきます。その差は50代後半まで一定に広がっています。これはまだ昔(昭和の時代から続く)の働き方が大多数で、男女平等には進んでいる現状とは言え、実態はそう言えない、厳しい現実が令和の時代にも残っていることを示しています。
 
男女平等の道のりはまだまだ長い、そんな印象でこのデータを見ている次第です。理想と現実のギャップは、こういった調査結果(根拠に元づいた定量地)からも知ることができるわけで、大変貴重なデータだと思いました。
 
2022年12月01日 16:14

静かな退職、仕事は一生懸命にやるものじゃない?

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静かな退職、仕事は一生懸命にやるものじゃない?
 
11/9の日経新聞にあった記事です。
 
 静かな退職、表向きは社員、心はリタイア
 
なんと的確な現状分析でしょうか、今の日本に超適合です。日本人の多くがこの状態ではないでしょうか?
 
実際には会社を辞めるのではなく、席は温存、給料は半分になるので給料なりの働き方をする、そんな60歳以降のシニアの働き方だそうです。 → 心の中でこっそり退職しているさまです。
 
・昔のようにがむしゃらには働かない。
・勤務時間内の自身の仕事のみを淡々とこなす。
・自分のするべき仕事以外は一切しない。
・ライフワークと仕事を重ねない。
 
これを支持するのは60歳以降の再雇用組が主だと思いきや、そうではなくて、ミレニアム世代の若者とZ世代だそうです。
 
日本における『熱意ある社員』はわずか6%だそうで、世界的に見ても最下位グループにいるのが今の日本、生産性が低いのは当たり前で、仕事にやる気を持って臨む人は希少価値人間とも言われているようです(汗)。
 
実は、自分自身を顧みるに還暦を迎えた今の自分も『静かな退職』状態ですが、我々アラカン世代は『逃げ切り世代』といわれて、また別の存在でもあるようです。比較的まともに年金がもらえる最後の世代かもしれません?
 
ところで、次世代の方々よりましかもしれませんが、どう考えても年金だけで老後を過ごすことは不可能だと思います。年金手帳で送られてくる65歳以降の年金予想額は、半額近くになった60歳以降の給与手取りよりもさらに少なく額面でその半分程度、ここからの控除分を考えると、持ち家があればなんとか生活できる水準で、バラ色の老後はそこにはありません(涙)。
 
こう考えると、若い人が老後に我々以上に不安になることは至って当然、当たり前と言えます。

日本の未来、明るくないですよね(汗)!
 
 
2022年11月23日 15:20

結婚感の変化、この50年

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結婚の姿が変わってきたこの50年
 
11/19の東洋経済オンラインからです。記事のタイトルは、『社内恋愛は今や傍流?』でしたが、注目すべき論点はいくつもあったので、自身と息子のケースを比較して東洋経済のデータに書き込んでみたいと思います。
 
今急増のネット婚について、最新のデータである2019~2021年では、ネット婚:15.2%、この数字は見合い結婚:9.9%を上回り、見合い結婚の代替になっているとも考えられなくはありませんが、ネット婚は恋愛結婚なのか、お見合い結婚なのかがはっきりと区分けできないような印象です。
 → 好きになることで結婚するわけではなく相手の条件から入っていく印象なので、
   恋愛結婚とは言いにくい? 
   でもきっかけがネットで好きになるから結婚するのであれば恋愛結婚か?
 
ネット婚が恋愛であれば、恋愛結婚が9割となります。
 
小生の場合は恋愛結婚、大学のクラブ活動で一緒していたことが家内とのご縁、昔は優しかったですね(汗)。
 
息子はネット婚、静岡に就職して静岡の人とネットで知り合い、そのまま結婚することになりました。交際期間は1年程度と一般的な期間だったかと?
 
そして注目するこの記事のメインテーマ
 
見合い結婚と職場結婚を合算した婚姻数のマイナス分は約46万組、これが婚姻総数のマイナス分と完全に一致している事実です。
 
超驚き、これが無くなったことが結婚減の原因なんですね!
 
職場結婚は1990年代までは見合い結婚同様
 
「お膳立て婚」だった!
 
東洋経済記事の結論として、初婚数の激減は「お膳立て婚」の減少に帰結
 
つまり、お膳立てが無いと結婚出来ないのが日本人の特徴
多くの人がこれに該当していたと言うことです。
 
ここから更に考察を深めて、
 
何故、職場結婚が減ったのか?
 
これは簡単、今の会社の人間関係がそうだからです。
 

職場に恋愛感情を持ち込むな!

 

仕事は仕事と割り切れ
  (人事研修で言われたこと)
 → 職場に感情を持ち込むな!

 
そして、職場上司の結婚圧力はパワハラ扱い、
社員同士の恋愛はセクハラ扱いされるリスクがある!
 
これでは怖いことだらけで、恋愛なんてできません!
と言うことで、東洋経済の主張は
 
結婚したい若者を支援する「令和のお膳立て」を真剣に考えるべき時かもしれない?
 
なんとも寂しい時代になっていると感じているのは、小生だけなのでしょうか?
 
皆さんどう思いますか?
 
2022年11月22日 14:16

パーソナルモビリティ

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パーソナルモビリティ
 
今日の話は最先端技術を用いたこれからの製品について、その製品は 「パーソナルモビリティ」、昔の表現を使うと 「電動車椅子」 です。実は仕事の関係で知った製品なのですがその商品コンセプトが素晴らしい、感動モノです。是非、製造社のサイトを見て頂きたいです。下記サイトの開発者のストーリーはなかなかの読みごたえです。
 
WHILL / Persopnal Mobility
 
これからの高齢社会、すべての人がお世話になる製品では? そんな完成度の高い 「高齢化の移動手段」
タイプは2つあります。
 
WHILL Model F
273,000円(非課税) ← 税金がかかりません!
メーカー希望価格 ※送料調整費別
介護保険適応なし、歩道での走行可能/免許不要
障害者認定の方はレンタルもできるそうです(障害者等級によりますが、3,000円/月~)。
 
WHILL Model C2
近距離モビリティ|次世代型電動車椅子
※免許不要/歩道での走行可能
購入:487,000円(非課税) ← 税金がかかりません!
レンタル:月額14,800円(非課税)
 
昨日(7/29)、仕事を定時に早々に終えて試乗ができる有楽町のビッグカメラ(都内でもここ限定の展示のようです)まで足を運びました。細々と商品を見ていると定員さんが、
 
『試乗しますか?』 → 『勿論!』
 
と言うことで、どちらのモデルにも試乗させていただきました。乗り心地の良さはほんと感動モノで、電動で16km(公称:20km)の走行が可能です。
高級感があるタイプが C2
コンパクトに折りたためて使い勝手の良い F
 
少し前だったら、おそらく100万円では買えなかった製品だと思います。そのくらい完成度が高いです。これからの時代に人を幸福に導く製品コンセプトとはこういった視点からの製品開発が必要だと思います。来週にはこの製品の開発担当の方とお話しできることになっており、大変楽しみにしています!
 
2022年07月30日 10:54

科学技術は人間を本当に幸せにしているのか?

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科学技術は人間を本当に幸せにしているのか?
 
還暦を前にして大学院でいろいろと議論する機会が増え、我が人生を振り返る時、修論のテーマを何にするか?最近よく考えさせられることを書こうと思いました。
大学を卒業以降、技術者として科学技術の発展に貢献すべく、35年の長きに渡る期間を研究開発・製品製造、その環境安全・エネルギー施策に関わってきました。
科学技術の発展は豊かな人間社会の便益に繋がるべきもので、18世紀に始まる産業革命から現在に至る進歩はヒトへの好ましい貢献は多いものの、日本では1970年代の公害問題に始まり、現状に至る地球温暖化、廃棄物問題、生態系の変容等、想定外の問題も誘発されており、必ずしも良い側面だけではない科学技術の進歩の異なる一面を見ることができます。
 
太陽光発電を具体例として取り上げて考察してみます。太陽光発電はシリコンが半導体であり、光エネルギーを電気エネルギーに変換できる物性的特徴に着目して、発電自体にはCO2排出もなく、環境に優しい電気エネルギー源として現状最も有効な再生可能エネルギーとして活用されています。
 
実用化に際しては、1973年の第1次オイルショックを契機に、環境問題を包括したエネルギー問題への対処を目指して、1974年の『サンシャイン計画』として始まりました。1993年からはムーンライト計画(地球環境技術開発計画)と地球環境技術開発計画を統合したニューサンシャイン計画として取り組まれ、2022年の現状においても国策としてプロジェクトが継続されています。
 
太陽光発電はそのコアとなる発電技術として展開されており、2020年の全発電量に対する再生可能エネルギー比率は19.8%、太陽光発電比率は7.9%を占めています。太陽光発電は今や日本だけではなく、世界中で必須とされる発電技術となり、人類の生活にはなくてはならないものになっています。
 
とは言え、近年においては負の側面が現れてきており、環境問題としては生産過程におけるCO2排出や廃棄物問題、行政的な問題ではFIT制度を逆手に取った法令違反、そして特に近年問題になっている景観破壊は単に環境問題だけではない、これまでになかった人の心理的側面からの課題も包括しています。エネルギー供給の側面からは、太陽光発電は人のWell-beingな側面に貢献していると思いますが、実用化の段階でMal-beingな側面を多面的に醸し出していることが最近気になるところです。
 
→ ここが環境心理学への興味に繋がっているわけです。
 
日照率日本一の山梨県北杜市における太陽光発電パネルの景観破壊の問題を具体例とし取り上げます。この問題に関しては、多くの論文が執筆されており、
社会的ジレンマの事例としても問題提起出来ると思います。
 
例えば、
 中嶋明洋、「太陽光発電によるトラブル発生のメカニズムと解決の方向性:専門業者の視点から」地域生活学研究 第6号(2015)pp.61-70
 鈴木晃志郎、「景観紛争の科学で読み解く太陽光発電施設雄の立地問題」地域生活学研究 第7号(2016)pp.84-94
 吉永明弘、「太陽光発電施設の問題を環境倫理学から読み解く」地域生活学研究 第7号(2016)pp.77-83
 
太陽光発電は、2009年11月から開始された国の補助金制度を活用した普及施策(FIT:再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)で進展し、その結果として発生した問題は、法制度が不十分なまま建設が進んだ2015年頃から公のものとなり(中島明洋、2015)、翌年以降で顕著になったと思われます(鈴木晃志郎、2016)。現在も負の側面として継続的に論争が続いている。
 
対極にある顕著な事例として地熱発電の開発の遅れがあります。世界第3位の地熱源を有する日本においては、地熱発電の立地条件が整っているにもかかわらずその普及は大きく遅れています。その理由の一つに地元や環境関係者との合意形成が困難であることがあげられており(生田目、2018)、発電所の立地推進者との対立の構図には心理的障壁の存在を感じさせられます。

 生田目修志、「NEDOにおける地熱発電所立地早期化に向けた技術開発について」地熱技術Vol.43(2018), Nos1&2, pp.37-44

こういった背景から、技術進歩を妨げる人の心理状態に寄り添う
環境デザインとして『エコロジカル・ランドスケープ』
と言った概念も具体化されています(小川総一郎、2018)。
 
 小川総一郎、「エコロジカル・ランドスケープ概念」建設機械施工Vol.70 No.3March 2018 pp.26-31
 
今後の科学進歩に対しては、心理的視点からの考察無くしては進捗が期待できない状況が生じる場合が多くなると推察します。
 
2022年07月10日 11:43

謹賀新年 2022

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謹賀新年 2022
 
新しい年が明けました。
今年もよろしくお願いします。
 
年明け三が日はダラダラとやっています。
 
今年もいましばらくコロナ禍での対応に追われる日々となり、自由にやりたいことができない1年を予想していますが、徐々には普通に戻っていくように思います。
 → 在宅勤務にはかなり慣れてきた感がありますが、
   早く普通に働ける方が良いですね!
 
私事、今年はいよいよ還暦の節目となり、仕事も生活もどう切り替えていくか、具体的に次の一歩どうするか(仕事の切り替え)、それを考える必要が出て来る1年になります。
 
サラリーマン、ラインで出世できない人は歳をとるとお荷物になることを避けられない(汗)?
 → かなり多くの方が経験することだと思います。
 
自身の会社は定年が65歳に延長となっていますが、そのまま残ればよいと言った単純な話ではないようです。60歳を迎えるにあたり、雇用契約を結び直すとのことです。 → 給料は70%、ボーナスは50%になるようです。
 
ただ、収入面はあまり深刻に考えておらず、心配なのはやっぱりメンタル面でしょうか(汗)?
 
年末(12/28)に定期の上長面談がありました。現在の上司からいろいろとこれからの話はありますが、会社に残っても先の仕事はほぼ何も分からない、歳をとって会社に残ることもそう(メンタル的に)楽な話ではないですね!
 → 自分の気持ちの中で割り切れるか?  お荷物になるのは避けたいところですね!
 
60歳以降の働き方での問題は
 
 役割が無い
 
 責任が無い
 
 やりがいもない
 
そこいらへんを自分なりに解釈して、かみ砕いてどう切り替えていくかが重要と思います。
 
現在は(定年前の)出向中の身でもあり、この任期は2023年3月末(あと1年3ヵ月)、この任期中に60歳を迎えるのも複雑なところでもあります。
 
サラリーマンも後半戦となるといろいろ難しい?

単純に居残り勤務でいいや、とはなりません!
 
まぁ、今は気楽に考えていますが、今年は少しでも前向きになれる1年であることを誓いつつ、人生後半戦を乗り切るきっかけに繋げたいと思っています。
 
 
2022年01月02日 10:47

国税調査から見えてくる、不安な老後

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不安一色の老後ですね?
 
今日から師走、1年が過ぎるのが本当に早く感じる今日この頃です。
さて、11/30 に発表された 2020年国税調査結果、のぞいてみると、老後の不安が急激に強くなってきます(汗)。
 
生産年齢人口 13.9% 減(5年前対比)
 
生産年齢人口(15~64歳)
7,508万7,865人(5年前対比:▲226万6,238人)
 → 1975年を下回る水準、豊の老後は厳しい?
 
日本の人口:1億2,614万6,099人
生産年齢人口対比:1.8% ← この数字をどう判断するか?
 
2010年代は景気回復、女性や高齢者の就労が増え、人口減を補ってきましたが、2020年以降はそれも飽和状態、人口減が生産年齢人口の減少に直接繋がっているようです。この飽和状態で少子高齢化社会、生まれる子供の数は減少して高齢者が増えるとぶら下がる人は増えて、生産年齢人口が加速度的に減少します。そうなると生産力が落ちるので、年金も減る、健康保険料も上がる、若者の力に頼った現在の社会制度が崩壊するのは時間の問題でしょう。
 
簡単に考えると、死ぬ間際まで働き続けなければならない! でも、歳を重ねると、健康に対する個人差は大きくなります。元気な人は90歳まで働けるかもしれませんが、現在の健康寿命は74.1歳(男女平均)です。
 男性:72.6歳 女性:75.5歳
 
これに対して平均寿命は
 男性:81.64歳 女性:87.74歳
 
平均寿命から健康寿命を引いた年数が不健康年齢期間(寝たきり生活)に相当します。
  男性:9.04年 女性:12.24年
 
この期間はあくまでも平均値ですが、一般的な人はこの期間(寝たきり状態)をどう乗り切るか、これを真剣に考えなければなりません。
 
更に問題はここからです!
 
一人暮らし世帯拡大
5年前から14.8%増(高齢者では5人に1人)
 
一人暮らし世帯が全体の38.0%
単身高齢者の一人暮らし: 671万6,806人(5年前対比:13.3%増)
 
高齢者の一人暮らしが増える現状は、年金だけでは暮らせない貧困世帯が増えることに繋がります。高齢者が誰かと生計を一緒にできれば、働かなくとも収入面では安心です。緊急事態にも対応が可能です。ところがひとり暮らしが増えてしまうと、貧困生活に加えて孤独死も増えるのでしょうね?
 → 老後は誰かと一緒に暮らしていたい、そう考えるのが普通ですが、
   この普通ができなくなっているのが昨今だと言うことでしょう。
 
そしてどこに住むかです、これは分かっていたことですが、
 
東京圏(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県)で,
全国の約3割を占める

 
コロナ禍の影響で首都圏一極集中が緩和傾向にあるかは、次の国税調査まで待つ必要があるかもしれません。とはいえ、やっぱり首都圏に人が集中しており、特に居住費にはお金がかかる、これは続きそうです。東京は便利ですが、居住費が高すぎます。
 → 今は働いているので大丈夫ですが、定年後はどうでしょう?
 
首都圏居住費に対しての年金は少なすぎるのでこのギャップをいかにして埋めていくか、これが老後における大きな課題でもあります。
 
 
2021年12月02日 19:00

社会科学系の学会に参加して思った自然科学系との違い

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社会科学系の学会に参加して思った自然科学系との違い
 
10月に何年ぶりでしょうか、分からないくらい久しぶりに社会科学系の国内学会に参加しました。
 → 学会の要職は一橋大学の先生方
 
これまで、研究会には幾度か参加機会がありましたが、学会ともなると参加費が高いわりに聞きたい発表も少なく、コスパが悪いので積極的に参加する気になれない、そんなネガティブな想いで遠くから見ていました。
 
ところが昨今、自身の仕事環境が変わり、4月から国の研究機関に出向となったので、これまでのようなビジネス面の仕事とはかかわりが無くなり、その反対にアカデミックとは言えないまでも、仕事で学会に参加できる立場になったので、学会参加費も職場持ちなので久方ぶりに参加してみました。
 → これが結構高いので驚きますが、自腹ではないので(笑)
 
その感想、本日(11/30)の日経新聞 『教育』 のコラムで
早稲田大学商学部教授でらした恩蔵直人先生の述べられている
 
学会、世界で競争不可避に
尋問社会科学分野、大きな転機

 
問題提起: 若手養成する場、衰退招く恐れ
 
ここに書かれていることと全く同意でした!
一言で言うと、残念な現状を見たように感じています。
 
古い話で僭越ですが、自身が理系のアカデミックなところに軸足があった頃の自然科学系は物理を基本とするユニバーサルな世界共通の事例を扱うことが多く(と言うか、それが当たり前)、ここに日本特有の事例は出にくいという特徴がありました。加えて全世界に情報発信するので、論文は英語が当たり前、日本語で書いた論文は成果として認められない(英語論文のおまけ?)、そんな認識が小職の若い頃の持っていた率直な印象です。
 
これに対して、人文社会科学系は地域性が色濃く出て、日本の研究者が米国を背景とした社会科学を論文にすることは少なく、併せて日本語で国内限定での発信に偏っているように感じています。日本の事例なんて、世界では誰も注目しない? そんな世界では注目されない日本の事例を日本語で論文にしてもおそらく誰も読まないと思います。日本人ですら読まない?
 
米国の事例であれば別(米国は世界の中心なので)ですが、日本の特殊な事例なんて、世界のアカデミックな世界に生きる方々は何の興味も示さないのは当たり前だと思います。
 
その結果、国内学会の発表件数が減少、元々査読すらされない発表なので質は高くないようですが、更に質は下がり、聞いていて面白くもなんともない発表ばかり、大学の先生でもこんなにしょうもない発表をするのだ?そんな負のループに陥っているように感じました(失礼多謝)。
 
恩蔵先生が最後に書かれているひとこと、日本が科学立国を目指すのであれば必達な視点であり、国はこう言った視点で研究や教育の立て直しをやるべきだと思いました。
 
<恩蔵先生のまとめの言葉>

大学のグローバル化を意識した教育改革を進める中、研究成果と密接に結びついている学会の在り方について健闘すべき段階に来ている。
 
社説のまとめには
国内学会の衰退を招きかねないと問題提起しています。
 
 
2021年11月30日 11:30

「どうでもいい仕事」で悩まされる皆さんへ!

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「どうでもいい仕事」で悩まされる皆さんへ!
 
今日(8/30)の日経新聞 Opinion には素晴らしいコラム記事が出ていました。
頭を殴られたような印象で、核心を得た指摘だったことから
これまでのもやもや感が薄らいだ印象です。
今日はどうでもいい仕事に関わらざるを得ない悩める人たちに
処方箋を提供できる可能性を感じています。
 
「どうでもいい仕事」の放逐(ほうちく、追い払うこと)を
 
このテーマを研究している原著は
ブルシット・ジョブ / クソどうでもいい仕事の理論
  ( David Graeber著 / 岩波書店)
 
今までいろいろと悩まされていた自分自身への言葉だと直感的に思いました。
本書がこれまでの悩みに答えてくれるように思い、アマゾンで即購入しました。
 → 従ってまだこの書籍は読んでいません。明日入手予定!
 
さて、今日の日経コラムに何が描かれていたかと言うと、
まずは「ブルショット・ジョブ(どうでもいい仕事)」の
存在が明らかにしています。→ やっぱりあったんだ!
 
どうでもいい仕事とは下記のように定義されています。
おそらく多くの方がやらされ感満載で携わっているのではないでしょうか?
 
1 フランキー(取り巻き): 誰かを偉そうに見せるための取り巻き
ドアマンや受付係、政治家(首相官邸周辺は特に)の周りにいっぱいいますね!

2 グーン(脅し屋): 雇用主のために他人を脅したり欺いたりする脅し屋
ロビイストや企業の顧問弁護士、最近はいませんが総会屋なんかもその部類?

3 ダクト・テーパー(尻ぬぐい):誰かの欠陥を取り繕う尻拭い
バグだらけのコードを修復するプログラマー、
みずほ銀行のシステム障害はまさにこの部類だと思います!
最後は中小企業に丸投げのシステム開発はまさにこの部分が関わる?
 
4 ボックス・ティッカー(書類穴埋め人):誰も読まないドキュメントを永遠に作る
組織がやってもいないことをやっていると主張するために書類を作るだけの仕事
誰も読まないプレゼン資料や報告書などの書類を作ることが業務のシンクタンク

5 タスクマスター(ブルシット・ジョブ量産人):人へ仕事を振り分けるだけの仕事
一部の中間管理職、コロナ禍でその範囲は広がったと言われています。

 
表面的な対処のみでこれら問題を放任してきた日本では
働く人の「活力」、「熱意」、「没頭」が低く、
日本企業の活力低下に繋がっているとの指摘です。
 
根底にある労働力低下の原因のひとつは
 
働く人の心の問題を放置してきたから
 
まさにその通りだと思いました。
 
ですが不思議なことに、どうでもいい仕事の給料水準は業務負荷の割に高く、
エッセンシャルワーカーよりも厚遇されています。
働かずして収入が得られることは、経済的には恵まれていると言え、
一見望ましいことのように感じられますが、ここには心理学的な論点が無く、
それを加味した見解は下記です。
 
意味のない仕事は、その仕事に従事する人を惨めな気持ちにさせ、
時には脳に損傷を起こすほどのダメージを与えるそうです。
心理学には「意味構成主義」と言う考え方があります。
 
人は何らかの意味を深掘りする存在
 
仕事において普通に考えると、
人はそこに何らかの意味を求めているはずなので
ブルシット・ジョブに関わると言うことは、
人から仕事をする意味を奪う精神的暴力だとも言えるようです。
 
その処方箋は、詳細には著書をお読みいただきたいのですが、
「ブルショット・ジョブ(どうでもいい仕事)」を減らし(無くなれば理想)
意味の実感できる仕事を増やすことであり、
論説委員はこれを働き方改革の本丸と言っておられます。
書かれていることの何から何まで、まさにその通りだと納得しています。
 
 
仮にですが、どうでもいい仕事で悩まされている方がいれば、
一緒に語り合いたい、そんな気分です!
 
 
2021年08月30日 10:00

ジェンダーステレオタイプ

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「~らしさ」と言うジェンダーバイアスの危なさ!
 
昨日(8/25)からの日経新聞、Nextストーリーからです。
思い上がれない女性たち、今の日本女性を表す用語に、
 
 インポスター症候群 が 紹介されています。
 
インポスター(Imposter)は英語で「詐欺師」や「偽物」という意味です。「自分には能力や実力が無いにもかかわらず周りを欺いている」という自己否定的な意識を持ってしまい、自己評価が低くなる心理的傾向を指します。必要以上の謙遜意識がネガティブ思考に繋がり、自身を卑下する言動も多くなります。仕事で成功していても、

「現状の成果は自分の能力や実力ではなく周囲のおかげ、運が良かっただけ」

 だと思い込み、どうしても自身の力を信じられない心理状態にあることです。
 
女性がどうあるべきか、多くの方がこの言葉に悩んでいる現状は日本独特ではないとはいえ、日本ではその傾向が特に強いようです。
 
 「女らしさ」 の 壁
 
日本では進学の際に文系か理系を選択することが一般的で、早い場合は高校入学と同時に進路を選択しなければなりません。その際に出会う典型的なジェンダーバイアスが、大学専攻にマッチングしている「男らしさ」であり「女らしさ」だと思います。
 
ジェンダーバイアスとは、性差による固定概念で、その典型が「女らしい」、「男だろ」と言った性的な役割への思い込みが含まれています。これが全くない人はいないと思いますが、良い意味でも悪い意味でも使われるので要注意な概念です。
 
典型的な古い考え方として、男は外で働き、

 女は家を守る(子供を育てるのは女の仕事)、

昔の女子大では女性教育を「良妻賢母」の育成としていましたが、今の時代にこんなことを言ってしまったら大変なことになります(汗)。
 
理系に進学する際、最近でこそ言われなくなってきましたが、女性が理系進学を口にすると、
 
 「理系に進むと結婚できなくならない?」
 
そんな発言が親からも親戚からも、そして周りにいる友人からも出てきたように記憶しています。大学時代を振り返り、自身の周り(40年くらい前)で理系大学に進学した女性は少なく、電気電子系学部の学年400人で女性は4人でした。
余談で面白いことに、卒業時のトップはその4人のうちのおひとり、現在は母校で教授として教鞭をとられており、女性の優秀さは身を持って体験しています。
 → 理系は男性向きと言う考え方は明らかな間違いかと?
 
ジェンダーバイアスを如何にして打破するか、最近の「ライフスタイル」重視の生き方にはまずはのしかかってくるところだと思っています。更に最近、こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
 
 ポジティブ・アクション
 
厚労省サイトには、下記のように説明されています。
 
ポジティブ・アクションについて一義的に定義することは困難ですが、一般的には社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいいます。(サイトから引用)
 
https://www.gender.go.jp/policy/positive_act/index.html
 
この文面には女性限定の概念として示されてはいませんが、
 
日本における女性の参画は徐々に増加しているものの、他の先進諸国と比べて低い水準であり、その差は拡大しています。これまでの延長線上の取組を超えた効果的な対策として、暫定的に必要な範囲において、ポジティブ・アクションを進めていくことが必要です。(サイトから引用)
 
世論調査の結果などを見ても、我が国は、固定的性別役割分担意識に関しての偏見が根強いことがうかがえます。また、現状では男女の置かれた社会的状況には、個人の能力・努力によらない格差があることは否めません。こうした中、実質的な機会の平等の確保が必要となります。(サイトから引用)
 
「女性らしさ」に同じくする男性側のジェンダーバイアスがあり、例えば、女性が働き男性が家事を取り仕切る場合には、「男らしさ」の反対側に来る生き方となります。国の施策としてポジティブ・アクションと言った言葉が出るうちは、人の意識(他人の目)の内面を認識して、逆風に立つかもしれない覚悟を持ち、自分のライフスタイルを決めていく必要があるかもしれません?
 
 ジェンダーに関する考え方、
  一言でどうだとは言えない難しい局面にあることだけは間違いないようです。
 
 
 
2021年08月26日 11:49